「広島ゲストハウス縁」で国際交流生む

観光振興を聞く3
恩 社長 正垣紅 氏

-どんな利用が多いですか。

 宿泊客は日本人とインバウンドが約半分ずつで、スタッフに米国、台湾人などグローバルな仲間がそろっています。年々、連泊客が増えており、戦争の歴史を学べる跡地巡りなど〝ダークツーリズム〟目的が多いです。1日かけて平和記念公園を訪れ、2日目は宮島へ。最近では、安芸太田町の三段峡での山登りや竹原市大久野島でのうさぎとの触れ合いのほか、東広島の酒蔵への訪問も増えています。 

-周遊促進への取り組みは。

 県内各地に興味を持ってもらえるように、施設内に各地域を訪れたくなるような工夫を凝らしています。例えば、2階のベッドは「三原」、「安芸高田」などと、23市町の名を付け、「大竹」のベッドの壁面には伝統の大竹和紙を飾り付けています。 

-広島の観光課題は。

 交通網の不足に加え、煩雑な案内で、外国人には分かりづらいのではないでしょうか。英語を話せる人、歴史や文化を伝えられる人が少ないのも現状。それらが十分に整えば、県内各地へ周遊してもらい、滞在につながると思っています。山、海、街をつなぐツアーやプログラムを旅行関連事業者や地場企業・行政と協力してつくりたい。 

-被ばく後100年に向けた構想は。

 20年の開業を目指し、外国人と日本人が共同で住める「インターナショナルハウス」を構想中。広島の魅力を知り、暮らしたい、働きたいという外国人のために、8〜10人が住める家で、外国人と当社メンバー・協力スタッフが一緒に暮らし、国際交流の場にしたいと考えています。
 5年後には、横川に温泉施設をつくりたい。荒れている森林をよみがえらせる目的で、県産の間伐材の活用を検討。現在、関係団体と勉強会を開いているのですが、10年以内には、広島城をゲストハウスとして活用するプロジェクトを実現させたいです。被ばく者や戦争を知る人が高齢化する中、国際・平和都市「HIROSHIMA」を担っていくのは、僕ら若者だと、大きな使命を感じています。被ばく100年となる2045年に向け、平和の大切さを引き継ぎ、国内外の人たちへ伝え続けたい。

【プロフィール】
東京都出身。福山市で会社員を経験後、2016年にシェアハウス運営の恩(西区南観音)を設立し、17年に横川商店街の一角に「広島ゲストハウス縁」を開業した。