サイクリングツアーが年千人突破

観光振興を聞く2
mint 社長 石飛聡司 氏

-sokoiko!とは。

 定番の観光スポットではない地域を巡る外国人向けのサイクリングツアーで、3年目を迎え、参加者が年間1000 人を超えました。広島市のシェアサイクル「ぴーすくる」を利用し、3時間程度で気軽に参加しやすいのが特徴です。平和記念公園を起点に広島電鉄の被ばく電車や千田町の建物などの遺産を巡るピースツアー(6500円)のほか、プライベートツアー(1万2000円〜)、ナイトツアー(1万5500円)を用意しています。

-急成長、人気の理由は。

 19年に、世界最大級の旅行コミュニティサイト「トリップアドバイザー」に掲載した当ツアーのレビューで総合的に優れていると認証されたことで、一挙に認知拡大しました。利用客の大半は欧米豪人で、知的奇心が旺盛。広島の名所を観光した後に、体験や学びを得たいと当ツアーに参加する人が多い。1年目は年間約60人でしたが、海外での展示会や商談に積極参加し、海外旅行サイトなどもフル活用しました。約8割が選ぶピースツアーでは戦前から戦後、復興の歴史をストーリー仕立てで伝えながらルートを巡ります。地元の主婦らを専門ガイドとして育成しているので、外国人に安心して楽 しんでもらえます。「復興の力強さを感じた」、「ヒロシマのイメージが前向きになった、元気をもらった」という声や、案内人への高い評価で、人気が高まりました。 

-夜の観光・滞在の振興策は。

 約4時間のナイトツアーへの集客を強化し、滞在につなげたい。広島駅周辺から横川方面へ名所を巡りながら約1時間サイクリングし、横川駅で乗り捨てる。その後3時間ほど、商店街でバーホッピング(はしご酒)を楽しみます。はしご酒の仕組みも、前菜・主菜・デザートに分けて、それぞれ適した居酒屋、カフェ・バーなどをはしご。1つの店に集中せず、複数の店に均等にお金が落ちていき、そして地域交流も生まれやすい。広島には観光名所だけではない、魅力ある商店街や人、グルメがあると伝え、ファンを増やしたいです。

-これからの目標は。

 都市や地域にある独自のストーリーをツアーに組み込むのが、sokoiko!。国内でのフランチャイズ展開や海外での日本人向けツアーの導入を考えています。25年の大阪万博を契機と捉え、国内・海外合わせ200エリア・売上高2億2500万円の規模を目指します。

【プロフィール】
2014年設立。アパレルショップから独立し、インバウンド向けサイクリングツアー「sokoiko!」のほか、ウェブ・飲食事業などを手掛ける。