Vol.5株式会社日本クライメイトシステムズ
~大学生が東広島市の企業5社をインタビュー~

◆◇◆「東広島ではたらこっか」東広島市学生インタビュー企画【2023年】◆◇◆

株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~

 学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2022年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
 第5回は、自動車や産業機器の空調を手掛ける株式会社日本クライメイトシステムズの代表取締役社長 仁井内 進氏に製品づくりや職場の環境、地域への想いなどを聞きました。


― 創業の背景と事業内容を教えてください。

株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~代表取締役社長 / 仁井内 進氏
 1987年、マツダ向けのカーエアコンシステムの開発・製造会社として、マツダ、松下電器産業、フォード自動車の3社均等出資の合弁会社として設立されました。現在は、社名変更や会社分割等があり、マツダ、パナソニック、ハノンシステムズ(韓国)が親会社となっています。当社の主要製品は、カーエアコンシステム、パワートレインクーリング(エンジン冷却装置)、バッテリークーラー(バッテリー冷却装置)です。親会社のマツダ(自動車)・パナソニック(電機)・Hanon(自動車用空調)の知見を活用、協業することによりサーマルマネージメントの領域において圧倒的な存在感のある企業を目指しています。

― 製品の試作で難しいことは。

株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 自動車一台の試作に数千万円以上かかります。それを毎回作っていると、膨大なコストが発生するため、実験用の車体でシミュレーションと解析を繰り返し、最後に「答え合わせ」をする形で製品化します。その際、シミュレーション結果が本当に狙いとしている機能と合っているのかを判断する力が必要です。その信頼に足り得る解析力を身に付けるには、何度も試行錯誤を積み重ねる苦労が伴います。


― 職場の環境づくりで心掛けていることは。

株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 定期的なヒアリングやアンケートで社員の意見・要望をくみ取り、それを具現化することです。特に産休や育休制度を取得しやすい環境づくりを推進。安心して復職できる体制を整えて2022年に妻の出産後約1カ月間の休暇を取得できる出生時育休制度を導入し、2人が活用。通常の育休もこの1年間で男性4人が取得しています。事例自体はまだ少ないですが、小さい声も拾うように意識しています。
 また、働く環境が良いとモチベーションが上がり、仕事の質も向上すると考え、社内設備面への投資も積極的です。例えば事務所にカフェスペースを併設したほか、洗練されたデザインのお手洗いや、ホテルのラウンジのような休憩室を設置しました。


―コミュニケーションで大切にしていることは。

株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 当社は海外拠点を持つほか、本社でも外国人材が多く働いています。彼らと接するときは、日本の常識や当たり前を基準にしないように心掛けています。育った環境や歴史、文化が違い、それらを尊重する姿勢が大切。私は、コミュニケーションでは「ユーモアさ」が大事だと思っています。緊張感をほぐしてリラックスできますし、距離もグッと縮まる。採用面接などで自身をアピールするときには、ぜひユーモアを意識してみてください。そうした学生は第一印象も良く、親しみやすさを感じます。

株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
― 資格などは就活に有利ですか。  資格そのものではなく、取得するために勉強し、知識を得た過程が重要。そして、それを生かして会社で何をしたいのか、どんな考えを持っているのか、ということに耳を傾けます。就職後も資格を取る時間は十分にあります。当社では取得支援制度を用意しており、働きながら勉強してスキルアップする社員が多いです。


株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
― 学生時代にしておくべきことは。  私は学生時代に材料工学の分野に興味を持ち、熱心に勉強していました。一つの分野に夢中になり、学習することはもちろん大切です。しかし、今振り返ると、学問に対してあらゆる角度からアプローチすべきだったと後悔する気持ちもあります。自分の知らない世界に視野を広げるには、数多くの知識が必要だからです。学生時代は自分自身を枠にはめずに、専攻科目以外の分野にも興味を持って可能性を広げてほしい。

― 地域貢献への思いとは。

株式会社日本クライメイトシステムズ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 当社は、社員や地域の皆さまと共に経済的に発展していくことが、地域貢献だと考えます。当社に就職が決まり、東広島市に移住してもらうことも経済発展の一つの方法で、納めた税金を活用してもらい、市民生活を豊かにすることも企業の使命だと考えます。もし自身の進路で悩んだら、地元の企業を調べてみてほしい。生まれ育った地域の企業で働くことは地元への恩返しにもなります。

代表取締役社長 / 仁井内 進 1961年生まれ、広島県出身。2022年から現職。



私たちがインタビューしました

東広島市で働いて、地元に貢献したいという気持ちが芽生え、就活の軸が定まったように感じます。普段関われない方とお話しでき、とても貴重な経験でした。 賀谷 優奈(広島市立大学3年生)

学生には時間がたくさんありますが、社会人になると自由な時間が限られてしまう。残りの学生生活では時間を有効に使い、多くの経験を積んで、自分の可能性を広げたい。 正岡 裕基(広島工業大学2年生)

「車内を快適にするには会社から」という考えのもと、社員が働きやすい環境を整え、働きがいの向上に努めていることが印象的でした。取材や工場見学では、会社の精神に直接触れることができる良い機会でした。 立畠 あいか(広島大学2年生)



将来の目標が定まらず、不安だらけでした。インタビューを通じて、自分の枠に捉われずに、挑戦することの大切さを学びました。 本田 太一(広島経済大学3年生)

取材日:2022年8月

会社概要

株式会社日本クライメイトシステムズ
所在地:〒739-0153 東広島市吉川工業団地3-11
設 立:1987年
資本金:30億円
従業員数:450人(22年3月現在)
TEL:082-420-9500
URL:https://www.jcsaircon.co.jp/
事業内容:自動車用及び産業機器用の空調、温調及び冷却機器に関する、開発・製造及び販売
※2022年8月当時の情報です。