Vol.4 株式会社東広島タクシー
~大学生が東広島市の企業5社を取材!学生インタビュー~

◆◇◆「東広島ではたらこっか」東広島市学生インタビュー企画【2025】◆◇◆

目的地までの最終交通手段 移動課題の解決が使命|株式会社東広島タクシー / 山田 章夫 専務取締役にインタビュー

学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2024年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
第4回は株式会社東広島タクシー。東広島市一円でタクシー運行を主力に、貸し切りバスなど旅客運送業を手掛けます。山田章夫専務に、業界が抱える問題や今後の展望について聞きました。

― 事業内容は。

株式会社東広島タクシー |東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~バス事業にも力
広島市のタクシー会社で運転手を務めていた祖父が1950年に東広島市で賀茂タクシーを創業し、73年に社名を「東広島タクシー」として法人成りしました。市内中心にタクシー66台を運行しており、創業以来24時間365日休まずに営業しています。バス事業にも力を入れており、過去には市から受託して、予約型で運行する〝デマンド式〞の空港送迎バスや福富地域での乗り合いバスなども運行しました。

― 創業以来休まずに営業できているのはなぜですか。

株式会社東広島タクシー |東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~専務取締役 山田 章夫 氏
「私たちが止まると移動できない人が出てしまう」という責任感と、常にタクシーを稼働できる勤務体制を創業時から維持してきました。飛行機や電車などの交通機関が一定の区間を運行するのに対して、タクシーはドアツードアで移動できることから、目的地までの「最後の交通手段」だと考えています。
特に災害時はバスや電車が止まることで必要性が一気に高まります。私は西日本豪雨災害時に配車を担当していたのですが、帰宅手段を失った人からの電話がいつまでも途切れることなく鳴り続け、有事の際にタクシーがいかに必要とされているかを痛感しました。

― 子育てタクシーやeサポートタクシーなど取り組みが特徴的ですね。

子育てタクシーは私が入社した時に、お客さまからの電話で「陣痛になった時にタクシーを呼んでもいいですか」と聞かれた体験が基です。お客さまが気兼ねなく使えるように、さまざまな知見を集めるために全国子育てタクシー協会に加盟。妊娠時や小さいお子さんがいても安心して乗れる体制を整えました。
お客さまの日々の困りごとをサポートするeサポートタクシーは、コロナ禍に人と物をつなぐ救援事業として考案。お客さまの買い物や薬の受け取りなどを代行しています。コロナ禍では、広島県から受託して感染の疑いがある人を病院へ送り、患者をホテルなどの療養施設に輸送する手段としてコロナタクシーも導入。運転席と後部座席を完全に遮断して、お客さまとは通話機を通して会話するなど、運転手の感染リスクを可能な限り減らしました。

株式会社東広島タクシー |東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~UD(ユニバーサルデザイン)タクシー
株式会社東広島タクシー |東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~乗り降りしやすい車輌

― 業界が抱える課題とは。

株式会社東広島タクシー |東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~常にタクシーを稼働できる体制を維持
人手不足や運転手の高齢化など、対処すべき課題は山積しています。自動運転技術が人手不足解消の手段として期待される一方、日本の狭い道路やインフラ整備の遅れを鑑みると安全性に問題があり、本格的な導入はまだ難しい。人の手による運転はこれからも求められ、採用につながる企業努力は必要不可欠です。
当社は従業員の自家用車購入や車検などの費用をグループ会社で支援し、従業員の金銭的な負担軽減になる福利厚生を用意。国土交通省の「働きやすい職場認定制度」も取得しています。
タクシー運転手が高齢化する一方で、社会問題化する高齢者運転による交通事故への対応も重要です。高齢ドライバーを採用する以上は定期的な研修や検査を行うほか、車両に安全支援システムを付けるなど、お客さまも運転手も安心できる環境を整えています。

― 今後の展望について。

株式会社東広島タクシー |東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~ガスと電気のハイブリッド車を導入
今後どのような課題が降りかかってくるかを事前に予測し、対処する必要があります。例えば、もしもライドシェアが普及すればタクシー会社の乗客が奪われるでしょう。これに関して、タクシー会社の管理下で一般の運転手が自家用車などを使って有料で送客する「日本版ライドシェア」という仕組みが新たにつくられ、当社は2024年10月に東広島市で初めて導入しました。
環境対応の一環として、ガスと電気のハイブリッド車のジャパンタクシーも導入。電気自動車(EV)を選ぶ会社も多いですが、現状は走行距離の短さなど課題が残っています。国内外でもEVに対する考え方が見直されつつあり、今後も動向を注視した判断が大切です。当社の売上構成比は、タクシー・バス半分ずつで、今後はバス・ハイヤーを主力に伸ばしていく予定です。

― 学生にメッセージをお願いします。

株式会社東広島タクシー |東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
私は学生時代、勉強が苦手でサークル活動やバイトに明け暮れていましたが、今振り返ると「もっと勉強しておけばよかった」と後悔しています。学生の皆さんはそうならないよう自分の将来像を明確にし、実現に向けて今できることを〝バックキャスティング〞で考えて行動することが大切です。今しかできない勉強や経験を重ねることが、明るい未来につながると思います。

食協株式会社|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~

専務取締役 / 山田 章夫 氏 1984年生まれ、東広島市出身。近畿大学附属広島高校、神奈川大学工学部を卒業後、都内で不動産営業を経て、2009年に東広島タクシーに入社し、21年から現職。日本青年会議所の副会頭を兼務。

私たちがインタビューしました

移動課題を解決することが使命という言葉が印象に残りました。漠然としていた自分の将来について見直すきっかけにもなり、改めて何をしたいのかを考え、やりたいことに挑戦していこうと思います。 迫永 那歩(安田女子大学1年)

タクシー業界が自動運転などに反対するのは利権が絡んでいるからだと想像していましたが、利用者の安全確保に懸念があるからだと知って驚きました。思い込みで判断せず、現場の意見を直接聞く重要性を感じました。 森岡 和敏(広島大学1年)


取材日:2024年9月

会社概要

株式会社東広島タクシー
本  社:東広島市西条町御薗宇3387番地
設  立:設立1973年(創業1950年)
事業内容:タクシー・バス事業
T E L:082-423-2631
U R L:https://www.e-taxi.co.jp/

※2025年1月現在の情報です。