Vol.5 株式会社メンテックワールド
~大学生が東広島市の企業5社を取材!学生インタビュー~

◆◇◆「東広島ではたらこっか」東広島市学生インタビュー企画【2025】◆◇◆

国籍・性別問わず働きやすく
ダイバーシティ経営を実践|株式会社メンテックワールド / 船本 聰武 専務取締役にインタビュー

学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2024年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
第5回は株式会社メンテックワールド。自動車生産設備メンテナンスやダクト製造などを手掛けています。船本 聰武専務に経営の危機やダイバーシティ経営の取り組みについて聞きました。

― 事業内容について教えてください。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
1961年に東洋工業(現マツダ)本社工場の生産設備メンテナンス業務で創業。2008年に本社を東広島市に移転しました。工場のメンテナンス関連の業務をはじめ、ダクト製造などが主な事業です。ダクトはショッピングモールなどの大きな建物や集合住宅の天井裏などにある、空調・換気をするための筒状の軽くて長い鋼管をイメージしてもらえたらと思います。そのほか、今後必要とされる企業の自動化・省力化に向けて、21年から次世代ロボットなどの販売にも取り組んでいます。

― 会社が長く続く秘訣は。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~専務取締役 船本 聰武 氏
変えないものと変えていくもの、両方を大切にして時代に合わせて対応してくことです。「百試千改」、「不易流行」という言葉がありますね。当社の主力である自動車生産設備のメンテナンス関連事業を継続しながら、時代に合わせて、ロボット販売や国籍・性別・年齢・学歴にとらわれないダイバーシティ経営に取り組んでいます。一本の筋を貫きつつ、周りの環境に合わせて柔軟に変わっていかなければならないのです。
当社は企業向けに事業を展開しています。そこで大切なのは優れた製品やサービスを生み出すことと、取引先との信頼関係が土台にあること。日々の取引で、信用と信頼をこつこつ積み上げるよう心掛けています。

― 経営の危機はありましたか。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
最も危機に瀕したのは2008年のリーマンショックです。仕事は半分になりました。加えてその年に本社を東広島市に移転。多くの企業のリストラによる失業者が大量に出る中、当社はそうしたことは避け、ワークシェアリングで対応しました。同時にダイバーシティ経営、社長のトップ営業による新規取引先の開拓を推進。なんとか苦境を乗り超えた結果、今では従業員数も増えました。あの時に一生懸命取り組んだおかげで、今があります。
― 会社経営で大切にしていることは。 社員のため、家族のため、お客さまのため、地域のために当社自体の財務基盤を整えることです。財務基盤がきちんとしていないと、いくら良い製品やサービスを生み出したとしても、長続きしません。そうなると、社員やその家族を守ることはできません。

― ダイバーシティ経営について教えてください。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~IKCでは多言語に対応
ダイバーシティ経営を実践しており、女性活躍もメインテーマの一つ。具体的には女性の積極採用、管理職の登用に取り組んでいます。また、子育てを支援するため、19年に企業主導型保育園「インターナショナルキッズコミュニティ(通称:IKC・イック)」を開設。特にお子さまの送り迎えをされる保護者の多くは母親であることから、イックではおむつや布団の持参が不要な〝手ぶら保育〞などで負担軽減に力を入れています。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~19年に開設した企業主導型保育園
保育園は当社の従業員のほかに、連携している市内25社に勤めている方、地元地域のお子さまも利用していただけます。当社では多国籍の従業員が働くため、国際性豊かに育ってほしい思いから、園では日本語・英語・スペイン語・中国語を遊びながら4カ国語を学べるのが特徴です。このほか国際化に対応した教育にも取り組んでいます。

― 人手不足への対応は。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~主力のダクト製造
日本の製造業は、労働力と市場を確保するために海外展開を進めてきました。しかし、現在は円安で見直しを迫られています。ロボットによる自動化が進む中でも、最終的には人の手が必要です。日本は人口減少が進み、どの企業も人手不足が課題。当社も労働集約型の業務では外国人労働者の力を借りざるを得ない状況です。そのような背景もあり、ダイバーシティ経営や企業内保育園での多言語対応に取り組んでいます。

― 多国籍の人材、働きやすい工夫は。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
現在、ベトナム・バングラデシュ・インドネシア・中国・ガーナ国籍の社員が在籍しています。言葉の壁をできるだけ取り除き、コミュニケーションを円滑にするためにも、外国人〝人財〟の採用は一定の日本語力があることを条件に設定。社内にはベトナム語や英語で表記した案内表示を設置したり、バングラデシュ出身者向けにお祈りができる部屋も用意したりと、それぞれの国の文化を尊重しています。
― 学生時代にやっておくべきことは。 一生懸命に打ち込めるものを一つ、つくってください。趣味やアルバイト、なんでも結構です。その経験を面接で自信を持って話せるといいですね。

株式会社メンテックワールド|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~

私たちがインタビューしました

アイデアの生み出し方や学生生活のアドバイスなどもインタビューできた貴重な機会でした。長期的な信頼が大切だと聞き、普段の生活でも心掛けたいです。 前田 海結(広島大学3年)

インタビュー中にもお客さまからの問い合わせに即対応する姿を見て、信頼関係の大切さを実感しました。「経営は生き物だから(即対応する)」という言葉に感銘を受け、学校では学べない貴重な経験でした。 森岡 和敏(広島大学1年)

今まで年齢や性別にとらわれていましたが、ダイバーシティ経営の話を聞き、その考えを改める良い機会になりました。相手を尊重できる大人になりたいです。 東浜 優衣(安田女子大学2年)

経営者の考え方は、そのまま社員の生活に関わることを知りました。社員のことを家族のように大切にされる姿に経営者が背負う責任の重さを感じます。 中村 杏(安田女子大学1年)


取材日:2024年9月

会社概要

株式会社メンテックワールド
本  社:東広島市八本松飯田2-2-1
設  立:1965年10月
資 本 金:9674万9500円
売 上 高:22億6600万円(2024年1月期)
従業員数:142人
事業内容:工場内設備メンテナンス・ダクト製造・粉塵抑制装置販売・保育園運営・ロボット販売
T E L:082-436-4800
U R L:https://mentecworld.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。