《廿日市市》工業用地の募集始まる アクセス良く進出意欲大
22年の地域経済⑥ 広島経済レポート
ベッドタウンからホームタウンを目指す基盤づくりが進む。大規模開発として注目される「(仮称)平良丘陵開発土地区画整理事業」は、山陽自動車道の宮島SA東側の平良地区約70㌶を造成する。廿日市市の新機能都市開発事業の一環で、工業施設用地約11.1㌶の事業者募集がいよいよ始まった。現時点で県内外の30数社が進出意向を示す。製造業を中心に必要とされる用地は募集の倍近いという。事業主体となる土地区画整理組合の11月設立を待って、立地契約へ進む運びだ。
コンパクトシティ構想を打ち出す市は地域医療拠点整備へ、地御前地区のJA広島総合病院一帯約2万7000平方㍍の整備に併せ4月、医療モールや官民複合施設「学研廿日市市多世代サポートセンター」の共用を開始。医療と福祉、まちづくりを連携し拠点機能を高める。同月には大野支所隣接地に「まちの駅ADOA大野」がオープンし、地域産品の販路拡大や情報発信を担い、にぎわい創出を狙う。年中無休。
JR廿日市駅北開発の進展に並行して、2021年12月に新佐方大橋が開通し、駅北口から佐方地区への利便性が高まった。商圏に団地を抱える宮内地区は20年11月Aコープ、21年7月ハローズが進出。量販店激戦区の様相を呈している。
宮島の魅力を守り生かす大規模開発として注目される宮島来島者数は19年に過去最多の465万人を記録したがコロナ禍で、21年は190万人を割り過去最少に。島内や宮島口周辺、対岸に宿泊施設の開業が相次いだが苦戦が続く。21年8月、厳島神社から東西に広がる市街地16.8㌶が戦国時代由来の門前町として重要伝統的建造物群保存地区に選定。今後の観光振興などに期待がかかる。島内の一部の宿ではワーケーション対応も進む。島内は高齢化・過疎化が加速。多くの法規制の中で宮島ならでは自然や文化歴史の価値を守り生かす、マイクロツーリズムやエコツーリズムが新しい観光需要の鍵となりそう。
宮島の玄関口一帯で整備が進む。宮島口旅客ターミナル、広島電鉄の商業施設「etto」に次ぎ7月、広電宮島口駅の新駅舎が開業予定。
県とのオフィス支援制度を使って宮島口にドローン操縦士資格認定事業の日本ドローン機構、EC販売代行事業のフロントフィールドが木材港南で事業を始めた。木材や食、観光などが市の主力産業だが、時代を反映した事業も広がりを見せている。広島経済レポート22年2月3日号掲載記事(6月6日修正)