環境、コスト低減に寄与する
〝グリーン水素〟事業を計画
ES技研株式会社
太陽光発電の知見生かし、技術開発を加速
工場の屋根や耕作放棄地などに付ける太陽光発電設備の設計・施工・維持管理を手掛ける。カーボンニュートラルの観点から新たなエネルギーとして注目される「グリーン水素」の事業化を計画し、研究開発を加速。同水素などの利用を促す「水素社会促進法」(2024年施行)を追い風に、新たな柱に育てる。
太陽光電力を安価に
太陽光発電は天候により発電量が左右され、安定供給やコストなどの面から導入を敬遠する事業者もある。同社は高品質なパネルの使用や、パネルの設置時期、発電量などを管理・分析する独自のデータベースを使って発電原価を抑える。25年春に大容量の蓄電池の取り扱いも始め、効率的に電力を貯蔵・使用できるようにした。外注せずに、設計、施工からメンテナンスまでを自社で一貫することで社内に技術や知識を蓄積している。
売上高10億円を突破
京セラ(京都)のグループ会社と協業し、製造業やスーパーなど企業の敷地内に発電設備を設ける「オンサイトPPA」も展開。顧客はパネルや工事費といった初期投資が不要で、電力を自家利用してES社に電気料金を払う仕組みだ。環境対策を強化する企業が増える中、トヨタ紡織九州(佐賀)やTHK(東京)といった大手の採用も増えている。同事業の貢献で、23年12月期売上高は前年の2倍超の17億9800万円を計上し、大台の10億円を突破。24年も18億円と増収を続ける。25年、福岡県に営業拠点を設け、九州地域を中心に提案を強化している。
グリーン水素に積極投資
新事業の「グリーン水素」は、太陽光発電でつくった電気で水を電気分解し、水素を生成する。同水素は製造時も使用時もCO2を出さない次世代エネルギーとして注目されるが、大量の電力が必要で、コスト低減が普及を占う鍵となる。同社は大容量の蓄電池や気候などを考慮して水素製造量などを自動で最適化するシステムを組み合わせることで、ガソリンなど既存燃料よりも安価なグリーン水素製造システムの実現を掲げる。
同分野への投資を加速。研究開発拠点として24年秋、山口県岩国市に2100平方㍍の土地と倉庫を取得。25年内をめどに大型の水電解装置を導入して実証を始める。1日で水素自動車4台をフル充てんできる10ノルマルリューベ(N㎥)時を生成。広島大学の市川貴之教授の協力の下、温風や触媒を使って不純物を取り除き、99・97%以上の高純度化を目指す。水素は水素自動車向けに一般販売する予定で、充てん装置を備える移動式水素ステーションも購入。ゆくゆくは水素プラントの設計・施工事業を計画する。
きれいな地球を残すために
久保田英規社長は電気工事会社などで経験を積んだ後、「環境負荷と電気料金の双方の低減に寄与できる太陽光発電の普及に寄与したい」と同社を興した。現在はグリーン水素の事業化に情熱を傾ける。「昔から山登りや海が好きで、豪雨や海水面の上昇といった温暖化の影響に危機感を感じている。代替エネルギーとしての水素の普及に貢献し、次の世代にきれいな地球をバトンタッチしたい」と意気込む。
会社概要
ES技研株式会社
本 社:広島市中区東白島町11-7
設 立:2018年1月
資 本 金:2000万円
売 上 高:18億円(2024年12月期)
従業員数:18人
事業内容:電気工事業
T E L:082-225-8881
U R L:https://esgiken.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。