Vol.16 石工 ~建築物の外装、内装の壁や床に石の取付・加工を行う専門技術者~[株式会社ストーンオフィス・モリシタ]
【広島商工会議所】地場建設産業の担い手に聴く!
地域インフラ整備 ・ 維持の担い手であり、地域社会の安全 ・ 安心の確保を支える国土・地域の守り手でもある建設業は、我が国の基幹産業として重要な役割を果たしています。建設現場の最前線で活躍されている様々な職種の建設職人や技術者にスポットを当て、地場建設産業の魅力の一端をご紹介します。(広島商工会議所建設業部会)
石工
株式会社ストーンオフィス・モリシタ
古賀 陽之さん
ー石工とはどういったお仕事をされるのですか。
ビルなどの建築物の外装、内装の壁や床に石の取り付け、および加工を行う技術職です。扱っている石は、セラミックタイル、御影石、外国から輸入された高級な大理石などがメインです。石によっては非常に希少性の高いものもあったり、国産か輸入品かでも価格が違ったりします。
石は繊細で、施工する際に角が欠けたり割れたりすることがあり、そうなるとその石は使えなくなるので、取り付けの際には十分過ぎるほど気を遣う必要があります。個人差はありますが、1人前になるのに大体10年くらいかかります。私は、この世界に入って15年。現在は職長として現場に携わっています。
ー自己紹介をお願いします。
父がもともと石工で、幼いころからたまに現場に連れて行ってもらい、父の働いている姿を見て、かっこいいと憧れていました。石自体もいろんな種類の石があって、魅力がありました。いつか父と一緒に仕事をしたくて、この世界に入り、8年間父と一緒に仕事をしました。父は7年前に亡くなりましたが、周りの方に支えていただき、今の自分があります。
ー仕事上の苦労などがあれば教えてください。
材料は重さがあるため、結構体力が要ります。自分は今のところ経験はないですが、無理な態勢で仕事をしていたら腰を痛めたりすることもあります。外の作業が多いので、夏は暑く、冬は寒い。石を取り付ける際は、石を傷つけないことも大事ですが、自分自身も指を挟んだりする危険が伴うため、細心の注意が必要です。
石を加工する時には、石を切断するサンダーという工具と穴を開けるためのドリルの2つの道具を使うのですが、この工具の扱いも、事故に遭わないよう十分に気を付けなければなりません。
石を墨通りにまっすぐ切るのは非常に難しく、この仕事を15年やっていますけど、まっすぐにきっちり切るのはすごく集中力が要り、今でも難しいです。まっすぐに切ったり、円形にくり抜いたり。そうした作業を一人前にできるようになるまでには、相当な経験が求められます。でも、ぴったり出来上がった時の爽快感はたまらないですよ。周りの職人さんからも褒められたりすると、本当に嬉しく、気持ちがいいですね。
ーやりがいを感じるのはどのような時ですか。
石工の出番は、仕上げ工事です。石が使われるのは、マンションやビル、学校などが多く、建物の顔となるところに基本的に使われます。しかも硬くて耐久性があり、ずっと長い年月、世代を超えて残っていくものです。石は外から見えるところに貼られることが多いので、自分が手掛けた建築物の近くを通りかかったりすると、やはり気になります。後々まで残って目に見える仕事ができるのは、とてもやりがいがあり、それがこの仕事の大きな魅力だと思います。
石は高価だというイメージもありますが、セラミックタイルなどは普通の住宅に使われることもあります。石調タイルと言っても、最近は一見自然石と区別がつかないほどで、手入れもしやすく、デザインも豊富で、コスト的にもリーズナブルなので、これを選ばれるお客さまも増えています。一方、自然石は中に化石が入っていることもあり、その石の歴史を感じたり、一つ一つ違った表情の石を見る楽しさもあります。滅多にお目にかかることのない石を扱う時は、自然とテンションが上がります。石の世界は面白くて、興味が尽きないですよ。
ー仕事に興味を持った方へのメッセージなどがあればお願いします。 建築業は若い人が少なく、人手不足が課題となっていますが、その中でも石工の世界は特に人手不足です。今、最前線で活躍されている職人さんたちは50代くらいです。人手が少ない分、ライバルも少なく、仕事はあります。こういう仕事があることを若い人に知っていただき、今からこの世界に入られたら、チャンスかもしれないですね。やりがいもあります。興味を持たれたら、ぜひチャレンジしてください。
会社概要
株式会社ストーンオフィス・モリシタ
所 在 地:広島市西区三滝町7-4
事業内容:石工事業・タイル工事業
創 業:1995年7月
(2023年9月現在)
情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課/