新乗車券システムと電車路線が稼働
利便性と安全性を高める

広島電鉄株式会社

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不動産事業やまちづくりも好調

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 路面電車やバスの運行に加え、不動産や建設、流通、レジャー・サービス業など、幅広い領域で県民の生活を支える。2024年6月に椋田昌夫社長が会長に、仮井康裕専務が社長に昇格する11年ぶりのトップ交代を実施。経営体制を新たに、企業価値のさらなる向上を図る。23年5月に策定した3カ年の中期経営計画では、「広島のワクワクを創造する」を旗印(パーパス)に、「安全・安心なサービスの提供」、「交通サービスの価値向上」、「新たな収益機会獲得への挑戦」、「人財の育成と働く環境の整備」、「安定した財務基盤の確保・強化」、「SDGs、ESGの推進」の6項目を経営戦略に掲げ、グループ16社が一丸となって取り組む。

持続可能な公共交通へ

 地域密着型の交通機関として、23年から24年にかけては広島市中心部の循環線「エキまちループ」へのEV(電気自動車)バス導入や、地元プロスポーツチームと楽団のラッピング車両のリニューアルなどを手掛けた。さらに25年までに、広島の公共交通の姿を大きく変える二つの取り組みが始まる。
 24年7月20日から、QRコードや新たな専用ICカードを認証媒体とする新乗車券サービス「MOBIRY DAYS」をグループ内の一部バス路線で運用開始。9月7日には、電車とバスのほぼ全ての路線で利用できるようにする。独自のシステムで、利用者のニーズに応じたサービスの提供を図るほか、電車の全扉乗降の拡大やバスの中扉降車対応も検討するなど利便性を高める。
 25年春にはJR広島駅ビルの2階広場に路面電車が乗り入れ、駅前大橋ルートの供用が始まる。JRの電車からの乗り換え時間は約1分、広島駅~八丁堀間の乗車時間は約4分短縮。定時性や速達性が向上し、広島駅周辺と市内中心部の回遊性やにぎわいづくりに貢献する。

運輸に依存しない事業構成

 売上高の6割以上を運輸業が占めることで、コロナ禍でグループ全体の収支に大きな影響を及ぼした。社会の変化に強い事業構成を目指す。
 不動産事業は分譲マンション「ザ・タワーレジデンス広島富士見町」(中区)が全戸完売。24年12月に「アンヴェール己斐本町」(西区)、25年11月に「ザ・広島フロント」(南区)、26年11月に「プレディア広島大手町」(中区)が相次いで完成を控えている。新サッカースタジアム隣接の中央公園広場エリアの整備など、まちづくりも好調。24年4月に開業したインドアゴルフスタジオ「広電ゴルフinDOORS」(安佐南区)は、グループで運営するゴルフ場の「グリーンバーズゴルフ倶楽部」(三原市)、練習場の「広電ゴルフ」(東区)との相互利用を見込む。

DXで安全と働きやすさを両立

 人口減少や、運転士の長時間労働を規制する2024年問題などの影響で、人手不足が大きな課題になっている。従業員が働きやすい仕組みを整えながら、安全安心な地域の公共交通サービスを維持するために、遠隔での点呼システム導入や独自の勤務編成支援システム開発、電話案内業務の集約などDXを推進。デジタル技術を使って運行管理の高度化・効率化を図り、人手を補いながらサービス向上にもつなげている。



会社概要

広島電鉄株式会社
本  社:広島市中区東千田町2-9-29
設  立:1942年4月
資 本 金:23億3562万円
売 上 高:304億6600万円(2024年3月期連結)
従業員数:1625人(2024年3月末現在)
事業内容:鉄・軌道、バス、不動産、流通、建設、レジャー・サービス業などをグループで手掛ける
T E L::0570-550700(ひろでんコールセンター)
U R L:https://www.hiroden.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。