丸本明社長に聞く
〜変革期乗り越える〜

自動車特集2020 マツダ

 国内市場は昨年10月の消費増税後に弱含みとなっています。世界市場も米中貿易摩擦などで不安定な状況が続き、中国市場の弱含みを予想。米国市場には飽和感があります。政治、国際情勢とも安定してほしいところですが、世界シェアにおけるスモールプレーヤーとして価値訴求販売を進めたい。  

新世代商品を相次ぎ投入

MX-30

 昨年は中期経営方針とそれに基づく施策を具体化した中期経営計画を公表するとともに、新世代商品第1弾のMAZDA3、第2弾のCX-30を発売しました。新世代ガソリンエンジン・スカイアクティブ-Xの販売をはじめ、新たなコネクテッドサービスの導入、ドライバーを常に見守り緊急時の回避・被害軽減を支援する先進安全技術を拡充するなど、マツダ車の特長である「走る歓び」をより安心・安全に感じていただけるよう開発しました。また東京モーターショーでは、当社初となる量産電気自動車のMX-30を公表するなど、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に呼応した技術開発や商品化を着実に進めた一年でした。電気自動車の航続距離延長を目的とした小型発電機「レンジエクステンダー」は長期的な視点で開発を進めており、導入時期を遅らせました。いずれMX-30への採用もあり得ます。

 今年、当社は創立100周年を迎えます。1920年1月30日に広島で誕生して以来、お客さま、お取引先や販売会社、そして地域の皆さまにお力添えを頂き、今日に至っています。創立記念日には従業員と共に、これまでの感謝を胸に歴史に向き合い、次の100年に向けて決意を新たにします。5月22日から3日間、地域の皆さまをはじめ、支えていただいた皆さまに感謝する機会として、マツダオープンデーを開催予定です。

 ビジネス面において、今年は2022年からの本格的成長に向けた足場固めの2年目となります。新世代商品群をビジネスの基盤として育てながら、さらに進化する先進技術や新世代商品の開発を着実に進めていきます。また今年欧州で発売予定のMX-30は、20年度上半期に宇品第1工場で量産を開始する計画です。年内に国内市場にも投入したいと思います。 

大変革期

 CASEによる経営への影響は大きく、ベースとなる稼ぐ力を高めたい。既に、自動車業界は100年に一度の変革期に突入しています。これを乗り越えていくためには、従来の組織のあり方や仕事の進め方にとらわれず、一歩踏み込んだ改革が重要と考えています。組織や市場を越え、全社が一丸となり、従業員の活躍の最大化を目指す改革を進めたい。ヒト、モノ、カネの課題を洗い出し、部門を越えたサプライチェーン全体の最適化なども重要です。値引きのインセンティブに頼らずに高い商品価値を納得していただける価格で提供するため、独自性にあふれた商品・技術の開発に投資し、満足していただけるサービスや店舗の改装など顧客体験にも力を入れます。また先進技術の開発は、自主開発に加え、他社との協業や、お取引先や大学・地域との共創活動を強化することにより、対応していきたい。100周年を機にした特別な設備投資は予定していませんが、トヨタと共同で建設中の米国工場のほかラージ群の新型車生産ラインの整備などを計画通りに行います。

100年に感謝

 

 100年を振り返るとやはり、原爆投下が一番大きな苦境でした。原爆投下後も諦めずに挑戦し続けた広島の精神を引き継いでいきたい。次の100年も持続的な成長をしていくためには、これまで支えていただいた皆さまへの100年の感謝を胸に、「人と共に創るマツダの独自性」を追求することが重要であると確信しています。このような思いを込めて、今年は「新たな100年へ、感謝を胸に変革へ挑む年」とします。これからも広島に根ざした企業として、事業を通じて社会と地域に貢献します。