株式会社誠和商会
~ゼロからでもできたテレワーク ICTを活用して短期間で業務効率化を実現に~
◆◇◆ 企業を変えるテレワーク ー 県内企業の挑戦 ー ◆◇◆
ICTを活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現する「テレワーク」。広島県は、感染対策だけではなく、個人のライフスタイルに応じた柔軟で自律した働き方を普及するために、県内企業向けにテレワークに関する導入支援策を展開しています。この連載は、テレワーク導入事例5社と各社の導入を支援した専門家に取材し、導入の利点やポイントなどを紹介します。株式会社誠和商会 西本 寛史 代表取締役社長に取組の背景やポイントを伺いました。
テレワークに取り組んだ背景は。
鉄鋼製品の加工を主力とする当社は製造現場があってこその会社であり、テレワークは無縁と考えていた。「営業部門には導入しやすいが、製造部門と働き方に差が出て不平不満につながる」、「顧客からの注文はファクスが多くて対応できない」など、むしろデメリットが多いイメージだった。しかしコロナ禍で在宅勤務に切り替えた取引先が、問題なく業務を進めている話を聞いたことで興味がわき、県の担当者に相談して導入への取り組みを始めることにした。
どんな取組をしていますか。
まず県から派遣された専門家(ITコーディネータ)に入ってもらい、テレワーク導入が可能な業務の洗い出しから始めた。
業務洗い出しによって、製造部の中で自宅での製図業務が可能なCAD部門の5人を対象にした在宅勤務、営業部の10人を対象にした移動中や出張先での受発注の入力や見積書の作成等のモバイルワークの導入を決めた。
テレワーク導入にあわせて、ノートPCとモバイルWiFiを購入するとともに、サイボウズのグループウェアを導入。グループウェアは、全従業員のスケジュール共有とチャット機能で社内・出張先を問わずタイムリーに連絡や意思疎通が図れるようになった。これにより、会社から出張中の社員に電話がつながるまで連絡していた伝言作業なども必要なくなった。
営業部の課題だった出先でのファクスの確認は、インターネットに接続した複合機と文書管理ソフト「DocuWorks」を導入してデータでどこからでも閲覧できるようにした。いざ取り組んでみると想像以上に導入は容易で、短期間で活用が進んだ。
当社にはファクスでの受発注や社員への電話連絡といった長年の中でルーティン化した業務が多くあり、自ら疑問を持って見直すことは簡単ではなかったが、外部の専門家の視点で見てもらうことで、固定観念にとらわれない見直しができたと考えている。
取組に当たって重視したことは何ですか。
一番重視したのは、無理のない範囲で取り組むこと。やるからには一気に導入したいと考える経営者もいるかもしれないが、少ない投資でできることからやってみて実績に応じて規模を広げていけばいい。当社も必要最低限の機材購入や準備で十分な効果を得ることができた。明日からできるような簡単なことから取り入れ、その結果次第で本格的に導入するかを検討することがポイントだと思う。
また製造現場がある当社では、テレワークに限界があると考え、在宅勤務にこだわらず、出先からも効率的な仕事ができるモバイルワークに活路を見出した。その結果、多くの業務の効率化にもつながり、継続して活用できるところまで取り組みが進んだ。
導入後の変化・メリットを教えてください。
ICTの活用で事前の洗い出しで出た課題を解決できたため、業務の生産性が向上したほか、残業時間は15%減少し、休日出勤もなくなるなど、社員の働き方にも大きな影響を与えた。
今後は育児や介護などで従業員もテレワークを利用できるように対象を拡大していく計画だ。あわせて、休暇制度を半日単位から1時間単位で取得できるようにすることやフレックスタイム制の導入など、さらに柔軟な働き方の実現に向けて加速していきたい。
社員の声
普段は会社の窓口対応や電話番をしながら、営業も担っています。コロナの濃厚接触者になり、急に在宅で仕事ができるか不安でしたが、来客や電話対応がないため、メール対応や見積書作成などに専念できて、むしろ仕事がはかどりました。
またモバイルワークが進んだことは、内勤する社員の立場としても助かっています。
取材日:2022年12月
会社概要
株式会社誠和商会
所在地:広島県広島市南区大州3丁目8番9号
URL:https://www.seiwashoukai.com/
業務内容:鉄鋼製品の加工販売と溶接製缶加工
従業員数:64人
情報提供:広島県
(働き方改革・女性活躍 取組サポートサイト「ヒントひろしま」http://hint-hiroshima.com)