シンコー 初の売上500億円突破 舶用ポンプなど需要増え円安も追い風

株式会社シンコー

 船舶用ポンプ製造のシンコー(南区大州、筒井幹治社長)は、2024年10月期の売上高が前年比46・8%増の508億円となり、初めて500億円を突破した。主力の舶用ポンプ、荷役装置のほか、陸上タービンなど全ての商品群で売上高が増加。また海外売上比率は83%で、円安も好業績に寄与した。今期も受注好調が続き、売上高565億円を計画する。

 世界的な脱炭素化の動きが大きく影響した。世界シェア95%のカーゴポンプなど大型LNG運搬船(積載容量17万5000立方㍍以上)向け製品は脱ロシア産化石燃料の動きを含む世界的なLNG需要増を受け、前年比5隻増の74隻分を販売。エネルギー大手の調査によると、40年までにLNGの世界需要が50%増えると予想されており、LNG船不足を見込んだ新造船受注も増えている。同社も今期は20隻増の94隻分を納品予定。世界シェア85%の荷役装置をはじめとする大型原油タンカー(載貨重量6万㌧以上)向け製品は、従来の化石燃料とCO2フリーのメタノールといった燃料を切り替えて使う二元燃料船への移行が増加しており、24年1〜9月の新造船受注量が過去最高となった中国向け輸出などが伸長。57隻増の79隻分となった。今期は76隻増の155隻分の納品を見込む。これらの受注に付随する機関室向けなど舶用一般ポンプも好調。そのほかバイオマス発電機タービン、ごみ焼却発電機タービンといった陸上タービンも国内12台、海外9台を販売した。東南アジアではパーム油由来の電力需要が高まるなど脱炭素化が大きく影響。今期は国内外合わせて120台の販売を計画する。
 1938年創業。舶用ポンプ、タービンで世界トップシェアの製品が多数あるほか、その技術を転用した陸上発電機タービンも日本最多の製造数で、都市ごみ焼却発電タービンは43都道府県に182台の納入実績がある。今年11月にグループの拓興産が食と教育をコンセプトにした複合商業施設「スパイラルガーデン大州」を開設し、地域の子ども向けイベントや知育環境の拡充にも注力している。

「広島経済レポート」2024年12月19日号掲載記事より