創業125年超の老舗食品メーカー
約30年ぶりに自社商品開発

楠原壜罐詰工業株式会社

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ステークホルダーの豊かな生活に貢献

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 創業125年超の老舗で、大手飲料メーカーからのOEM(他社ブランド製品の生産)を中心に清涼飲料水や調味料などを製造している。安芸高田市吉田町に自社工場を構えており、同所に本拠地を置いていた毛利元就の三矢の訓に倣って、「徹底5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」、「継続改善」、「人財育成」の〝三本の矢〟をものづくりの基本として全社員に周知。「美味しさと真心を詰めて、世の中の人々の豊かな生活に貢献する」を使命に品質に磨きを掛け、安心・安全な製品を提供している。

ニーズに沿って事業を変革

 創業者の楠原政之助氏が1897年に、前身の「楠原政之助商店」を立ち上げたのが始まりで、県内初のつくだ煮と漬物の瓶缶詰製造会社だった。日露戦争が始まるとつくだ煮は軍人の携行食として需要が高まり、中四国、九州を中心に販路を広げ、業績は好調だったという。しかし、戦後に消費者の嗜好が大きく変化し、広島市内に同業者も増えたことで徐々に漬物に比重を移した。その後も、時代の流れと共に変わる顧客のニーズに沿って、地元の果物やカキの缶詰、レトルトパウチ、飲料と主力製品を柔軟に変えながら、着実に成長を遂げてきた。2022年に新規事業プロジェクトチームを立ち上げ、約30年ぶりに一般向けの自社製品開発に着手。OEMとの2本柱で経営体制強化を図る。

政之助商店を復活

 近年はOEMのものづくりに特化しており、自社製品開発はほとんどゼロからのスタートだった。生産、設備管理、品質管理部門から招集された計4人を中心に、中小企業基盤整備機構の事業再構築ハンズオン支援を受けて開発に乗り出した。
 自社の歴史をひもときながら、飲料や食品缶詰などの企画を検討した。その中で、ソースメーカーなどに供給している業務用カキエキスのうま味成分が一般向けにも需要があると考え、カキエキスを濃縮した調味料「広島オイスター」を開発。創業時の屋号「政之助商店」を冠した調味料ブランドの第1弾として、23年4月に発売した。道の駅などで販売すると口コミを中心に評判が広がり、発売から半年で全国の新しい調味料から1位を決める「調味料選手権」で「地域の味ベスト賞」を獲得するなど幸先の良いスタートを切った。
 24年5月には、安芸高田市産の川根柚子の皮を原料に醸造酢「広島ビネガー」を発売。第3弾としてトマトケチャップも発売予定。ラインナップを広げて広島を代表する調味料製品の仲間入りを目指す。

七方良しの〝いい会社〟へ

 2代目の楠原森太郎氏から、地震や風水害の被災地や穀物の不作地への支援など慈善事業に注力してきた。創業120年を機に、顧客、社員、取引先、地域住民、社会全体、環境、未来に対して〝いい会社〟を目指す定性ビジョン「七方良し」を18年に設定。健康診断受診率100%やがん検診の推進などが評価されて、20年から健康経営優良法人に毎年選ばれている。23年には全国の上位500企業に送られるブライト500にも認定された。社員が自主的に行ってきた吉田工場付近の清掃活動は広島県のアダプト活動認定団体にも選出。自社の利益だけでなく、全てのステークホルダーの豊かな生活に貢献しながら次の100年を見据える。



会社概要

楠原壜罐詰工業株式会社
本  社:広島市西区中広町1-16-24
吉田工場:安芸高田市吉田町相合1100
設  立:1897年11月(創業)
資 本 金:1459万円
売 上 高:39億9928万円(23年12月期)
従業員数:45人(23年12月現在)
事業内容:食品製造、缶入り清涼飲料水のOEM、調味料開発製造販売
T E L:082-231-5185
URL(コーポレートサイト):https://kusucan.com/
政之助商店:https://www.masanosuke.shop/
※2024年9月当時の情報です。