包装に携わり125年
28年度に本社工場を移転・拡大
株式会社桐原容器工業所
多様な段ボール箱のニーズに対応
自動車部品メーカー向け段ボール箱のほか、食品用の包装箱を製造する。1900年にセメントを輸送するための木だる製造で創業し02年に中区舟入の現本社に工場を構えて以来、125年にわたり事業を続ける。戦後は自動車産業の発展に伴い、1960年頃から輸送用段ボールにシフト。自動車向けは、大型の部品を梱包する大きくて丈夫な箱が特徴で、現在では売り上げの約8割を占める。残りの2割が食品の包装箱や通販用の段ボールで、広島発祥のカルビーの菓子箱なども製造している。
28年度には廿日市市に本社と工場を移転予定。自動車向け段ボール箱のさらなる増産と、自動車以外の多様なニーズに対応していく計画だ。
自動車産業を支える
自動車部品向けはネジなどの小さな部品からドアやルーフなどの大きなパーツまで対応。多くの部品メーカーが関わり1台の自動車が完成する、業界ならではの分業制の輸送を支える。段ボール箱には、部品に合う大きさや輸送中に破損しない丈夫さが求められる。同社では大きなケースに対応した製造設備・印刷加工技術があるほか、新しい箱をつくるときは一度部品を預かり、その部品に合わせた強度や形に設計する開発力が強みだ。他社にはない大型の製造設備とオーダーメードの設計開発力で、競合が少なく安定した業績を維持してきた。
食品など新しい分野を開拓
セメント用の木だる製造で創業したが、1930年代の世界恐慌で建築業界が深刻な影響を受け、セメントの需要が大きく減少、危機に陥った。自力の営業で化学薬品向けに切り替え、たる製造を継続。戦時中は軍管理下のたる工場となり、山陽中学(現・山陽高校)の生徒らを学徒動員として受け入れていたという歴史もある。戦前から紙袋・ベニヤ板などの製品も手掛けており、戦後は自動車業界向けの段ボールにシフト。自動車産業の成長や発展で安定的な受注体制を構築してきたが、コロナ禍など社会・経済の影響も受けた。このような課題に対し、2028年度の工場移転によって事業基盤の強化を図る。桐原社長は「自動車用の段ボール箱は自社で一貫生産できる体制をつくりコスト削減、利益率を高めていく。同時に食品や通販用などの営業力を強化、個別のニーズに対応していく」と語る。
段ボールの可能性伝える
環境にも優しい段ボールの新しい使い方や可能性を知ってもらいたいと、段ボールのPR活動を積極化。2022年には、段ボール柄にラッピングした広島電鉄が広島駅~宮島口間を走行し「段ボール電車が走っている」とSNSなどで注目を集めた。25 年には段ボールを使って工作やゲームをするイベントを実施。
「段ボールは物を運ぶだけではない、災害現場でも活躍し暮らしの中でも身近な存在。環境負荷も少なく、万能な素材であることを伝えたい」
若手が多く活気ある職場
業界でも人材不足が深刻化する中、同社は採用が好調。24年は高卒・大卒9人、25年は高卒5人が入社した。入社2~3年の先輩社員がメンターを担う。若い世代が多く、明るくて活気のある社風で〝熱心・努力〟が社是。真面目でひたむきな仲間が集まっているという。
会社概要
株式会社桐原容器工業所
本 社:広島市中区舟入南4-1-11
設 立:1900年2月11日
資 本 金:1000万円
売 上 高:42億8500万円(2024年9月期)
従業員数:80人
事業内容:段ボール製造、ポリエチレン・クラフト製袋製造
T E L:082-231-9431
U R L:https://kiriharayoki.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。