特殊印刷機で国内トップ
業界の課題解決へ開発加速

富士機械工業株式会社

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世界40カ国に納入、海外シェア拡大へ


 1951年創業の特殊印刷機のトップメーカー。食品包装用プラスチックフィルムや家具、家電製品の木目印刷などの「グラビア印刷機」、缶詰や飲料缶などに印刷する「金属印刷機」、フィルムやアルミ箔など異素材を貼り合わせる「ドライラミネーター」、さまざまな材料の表面に薬品や塗料などを均一に塗る「コーター」の4事業を展開する。高品質・高耐久性を強みに、国内ほか世界40カ国に納入している。

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圧倒的な業界シェア

 69年に製造・販売を開始した金属印刷機・金属塗装機は国内では同社だけが開発技術を持つオンリーワン事業で、国内シェア約98%を占める。近年は新興国を中心に引き合いが増え、世界でもトップクラスに成長。グラビア印刷機の用途は食品包装をはじめ、家具・家電製品の木目印刷など多岐にわたり、ラミネーターとともに国内の約6割が同社製だ。
 コーターは電気自動車(EV)のリチウムイオンバッテリーの製造工程に使われ、中国などから受注が増えている。高速で薄く塗布する技術が評価され、2018年に経済産業省の「ものづくり日本大賞」で特別賞を受けた。材料ロスの低減や高稼働を実現し、顧客企業の生産性向上に寄与している。

小ロット対応機の開発

 菓子の期間限定品など商品の多品種化によって小ロット印刷のニーズが高まっており、対応印刷機の開発に力を入れる。小ロットのグラビア印刷では印刷の型となる版胴の取り換えやインキの色あわせなどによる生産性の低下が課題で、解決のための新技術を積極的に開発している。
 16年発売の「FSR型グラビア印刷機」には版胴の自動装着装置を搭載。国内最大手の凸版印刷(東京)と共同開発し19 年に発売した「FTS型グラビア印刷機」は、版胴交換を補助する装置「スピーディアーム」やインキ自動調色システム、交換部品の軽量化、版の洗浄・インキ抜きの自動化などで段取り時間の短縮に成功した。インクジェット印刷でも小ロット対応機の開発を進めており、商品化に向けた改良を重ねている。和田龍昌社長は「40㌔以上の版胴の交換作業はとても過酷。これからも省人化・省力化につながる製品を開発・提案し、印刷業界の職場環境改善に役立ちたい」と話す。

多様な人材が活躍

 外国人採用を強化し、ここ3年でタイ、ベトナム、中国出身の新卒社員が仲間に加わった。グローバル企業を目指し、彼らの考え方や視点を商品開発などに取り入れていきたいとする。
 ここ1年で男性社員4人が育休を取得。社員の体験談を社内報などに掲載し、取得しやすい雰囲気づくりを行っている。産・育休のほか、子どもの急な発熱などの際に部署内でカバーし合う体制ができており、家庭と仕事を両立できる環境がある。今後、さまざまな部署で女性の登用を進め、活躍を後押ししたいとする。
 DX化にも力を入れ、23年2月に専門部署「FDX推進室」を設置。書類、図面などの紙からデジタルへの移行を進めている。システムの新規導入なども検討。和田社長は「今後も時代に求められる製品を生み出すために、常に将来を見据えた挑戦を続け、世界ナンバーワンを目指す」と意気込む。



会社概要

富士機械工業株式会社
本  社:東広島市八本松飯田2-7-1
設  立:1951年7月
資 本 金:4億5000万円
売 上 高:122億5400万円(2022年8月期)
従業員数:221人(2022年8月期)
事業内容:グラビア印刷機、ラミネーター・コーター、金属印刷機など産業用機械の開発・設計・製造・販売
T E L:082-428-2450
U R L:https://www.fujikikaikogyo.com/
※2023年9月当時の情報です。