スプラウト(発芽野菜)全国一
生産センター整備を積極化
世界一の施設野菜メーカーへ
株式会社村上農園
新時代の農ビジネスを楽しむ
村上農園はスプラウト(発芽野菜)生産で全国トップだ。有用成分「スルフォラファン」が豊富な高成分野菜「ブロッコリースーパースプラウト」と「ブロッコリースプラウト200」、栄養価が高くリーズナブルなエンドウの若菜「豆苗」、高級レストランで使われる「マイクロハーブ」などを生産。2040年に〝売上高1000億円、世界一の施設野菜メーカー〟を目指している。
需要に応え、生産拠点の拡充を急ぐ。23年に宮城県黒川郡大郷町の敷地6万500平方㍍に東北初の生産センターを完成した。さらに24年内をめどに北海道伊達市南稀府町の敷地2万9000平方㍍に生産センターを稼働予定。東北と北海道まで他の拠点から出荷していた長距離輸送の時間を減らし、より鮮度の高い製品を届けるとともに物流2024年問題に手を打つ。21年には山梨に完全人工光型の植物工場「スーパースプラウトファクトリー」を稼働。傾斜地に潜り込む形で栽培スペースが地下にあり、室温が安定しているため省エネで栽培環境を管理できる。
同社は生育メカニズムに着目した安定的で高品質な生産体制に力を入れている。全国の生産センターをICTで結び、栽培環境データを共有。光や気温、散水量といった環境データと栽培装置制御などの管理データを含め、AI分析・予測する仕組みの整備を進める。栽培ノウハウをライセンス販売する計画で、世界展開につなげる方針だ。従来型の「農業」を〝ブレーンビジネス〟として捉え直した「脳業」に進化させていく。
植物工場による栽培技術のライセンス供与の実績としては、22年9月に台湾企業で生産・販売が始まった。
苦境乗り越えV字回復
そんな同社にも苦境があった。1996年の病原性大腸菌O-157による集団食中毒事件の原因食材がカイワレ大根とされたのだ。後に事実無根と判明するが、豆苗などの新野菜を展開することでV字回復を果たし、風評被害を乗り越えた。その後、高成分野菜のブロッコリースーパースプラウトなどを開発し、食の安全や健康志向を受けてロングセラー化。レシピ開発や積極的な情報発信で、需要を掘り起こしてきた。
レストランなどの外食向けに多彩な形と色、風味を持つ「マイクロハーブシリーズ」など、日本になかった新野菜にも挑戦。同社にはこうした開発力やマーケティング力、困難を乗り越えてきた芯の強さがある。
自考自走の人材と高め合う
村上社長は「だからこそ、当社には自ら考え、行動し(自考自走)、諦めずに最後までやり抜く人材が必要です。成長が実感できるように、成果を正当に評価する人事・給与制度の整備を進めるとともに、チャレンジしやすく、互いに刺激し合い高め合う組織を目指します」と話す。
「Challenge」、「Change 」、「Chance」という「3C」を「考動」の指標に掲げる。「農業ビジネスは自然環境も含め、取り巻く環境や状況が刻々と変化します。新しいことに挑戦し、自ら変化を作り出し、そこからチャンスをつかまないと進化できない。成功体験と同じくらい、失敗から学ぶ成長もあるでしょう。他人に言われて行うのではなく、自分で考え抜いたことならば、そこから生まれる失敗も忍耐も全て自分の成長の糧になります。共に新たな価値を創造したい」
会社概要
株式会社村上農園
本 社:広島市佐伯区五日市中央4-16-1 広電コイン通りビル3階
設 立:1978年1月
資 本 金:1000万円
売 上 高:90億9400万円(2023年12月期)
従業員数:107人(2023年12月)
事業内容:スプラウト(発芽野菜)、豆苗などの生産・販売
T E L:082-923-6080
U R L:https://www.murakamifarm.com/
※2024年9月当時の情報です。