Vol.4 べバストジャパン株式会社
~大学生が東広島市の企業5社をインタビュー~
◆◇◆「東広島ではたらこっか」東広島市学生インタビュー企画【2023年】◆◇◆
学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2022年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
第4回は、自動車用のルーフシステムなどを開発・製造するべバストジャパン株式会社の代表取締役社長、ブルース・ピアス氏に会社の歴史や社内の雰囲気、社員への想いなどを聞きました。
― 会社が設立されたきっかけは。
設立は1978年。ドイツで自動車のルーフやヒーターを開発製造していた親会社のベバストは、さまざまな国へビジネスを拡大するために各国の有力企業と合弁会社を設立するという戦略を取りました。日本では東広島市の大協(現ダイキョーニシカワ)とパートナーを組むことになり、私たちの本社も同市へ置くことになったのです。
― グローバル企業としての特徴は。
難しさと面白さが一体であることだと思います。困難なのはコミュニケーション。当然、異言語での意思疎通も求められますし、世界中からいろいろな価値観の人が集まるので、意見をまとめるのは簡単ではありません。しかしそれは、多様なアイデアが生まれるという強みにもなります。
環境の影響を受けやすいのも難しい点です。例えば2021年、米テキサス州に大雪が降ったことで、重要な樹脂材の供給が数カ月にわたって停止。世界中から代替品を探し、輸入の調整に東奔西走する事態に。遠い場所で起きた事象でも、こうした対応を迫られることがあります。大変な作業ですが、グローバルネットワークを活用し、問題を解決するプロセスの中に面白さがあるのです。
― 社内の雰囲気や異動について。
従業員の国籍はさまざまですが、チーム一丸となって一つの目標に向かう風土です。部門ごとの専門性が強い仕事なので、情報共有は頻繁に実施しています。
異動は重要視しています。社員が今の配属先や業務内容に満足しているのなら素晴らしいことです。しかし、中には他の仕事に挑戦したいと思う社員もいるでしょう。そこで当社では希望や意見を言いやすい環境づくりを心掛けています。また基本的には異動を命令することはなく、社員の自発的な思いを尊重する仕組みです。
― 働き方改革について。
現在は各種手当の充実や、フレックスタイム制の導入などを行っています。最大の目的は多くの人材を確保することです。私たちには商品を早く、正確に供給する責任があり、そのためには人の力が必要不可欠。より多くの人が集まる会社となるために、新たな制度の導入や既存制度の改善に取り組んでいます。
― 新入社員に求めることは。
自分の強みをつくる意識が大事です。私たちは「この分野を深く知りたい」「専門性を高めたい」といった探求心のある方を採用します。熱意をもって仕事に取り組む人が増えれば、会社全体も成長できますからね。
また幅広い視野も大切です。入社直後は自分の業務について理解を深めることから始まりますが、次の段階では周りに対して興味を持ってほしい。そうすることで仕事の全体像を把握でき、人を束ねる立場になった際に役立ちます。
― 社員の意欲向上について。
会社からの評価を個別にフィードバックするなど工夫していますが、現状のシステムに満足はしていません。先ほど、社員が意見しやすい環境づくりについて話しました。そこで上がった声に対して、経営者はきちんと理解を示し、回答することが求められます。部下は上司をよく見ていますから、対応の質をもっと上げなければなりません。評価制度は社員のモチベーションを上げるだけでなく、私たち経営者にとっても貴重な学びの機会だと捉え、よりブラッシュアップしていきたいです。
また社内イベントとして、コロナ前まではファミリーデイやバーベキューなどを開催していました。大事なのは家族にも参加してもらうことです。社員がどのような場所で何の仕事をしているか理解してもらえれば、本人の意欲につながりますし、外の目が入ることで労働環境の改善にも。また社員間の絆も深まるので、一つの目標に向かっていくイメージを高められます。
― 社長が大切にしていることは。
常にベストを提供するということです。私たちが商品をつくることができなければ、その影響は当社だけにとどまりません。供給先の工場もストップしてしまうということですから、相手の社員の生活に関わる問題になります。そしてもちろん、エンドユーザーの方々にも迷惑を掛けてしまいます。つまり社長である私には、ベバストグループ・取引相手・ユーザーなど幅広い人々への責任がついて回るのです。だから、良いものを毎日届けなければなりません。自動車という裾野が広い業界では特に大切なことだと思っています。
― 日本の若者へメッセージを。 真面目に正しく、自分の仕事を全うすることが大事です。日本人はとにかくきめ細かく、何事にもきちんと取り組む姿勢があります。例えば、電車が時間通りに運行するのも世界では非常に珍しいこと。それができる国に生まれたことに誇りを持ってください。社会における役割を一生懸命探し、実直な姿勢を忘れなければ、何も怖いものはありません。
代表取締役社長 / ブルース・ピアス 1960年3月7日生まれ。82年に入社し、約25年間製造・技術畑を歩む。管理課課長・企画部次長・総務部部長を経て2022年4月から現職。
私たちがインタビューしました
たくさんの貴重なお話を聞くことができ、とても良い経験になりました。職に就くことが終着点ではなく、就職した後も向上心を持って熱心に仕事に取り組むことの重要さに気づきました。 旭井 悠人(広島大学2年生)
世界規模のネットワークを活用して多様な事態に対応することや、常に物流の効率化を図り続けていることが興味深かったです。会社として、働く方々の主体性を非常に大切にされていることが印象に残りました。 山本 悠斗(神戸大学3年生)
インタビューに参加することはできませんでしたが、仕事に対する責任感や会社としての在り方について学べ、貴重な経験になりました。
六重部 咲(広島国際大学2年生)
取材日:2022年8月
会社概要
ベバストジャパン株式会社
所在地:〒739-0038 東広島市田口研究団地5-10
設 立:1978年
資本金:9800万円
従業員数:370人
TEL:082-433-6600
URL:https://www.webasto.com/jp/
※2022年8月当時の情報です。