ホテル業の現状と課題
TrendWatch トレンドウォッチ
ひろしま企業図鑑は、一般財団法人ひろぎん経済研究所(角倉博理事長)の協力を得て、県内の産業調査を、インフォグラフィックスを使って視覚的に表現しました。
第1段は「ホテル業の現状と課題~新設が相次ぐ広島市内のホテルを中心に~」。県内宿泊者数の推移や外国人宿泊者数の比率などのグラフを基に業界動向をまとめました。
2019.05
全国の宿泊者数は近年増加傾向で、2017年には延べ510百万人に達した。日本人宿泊者数が頭打ちとなっている一方、外国人宿泊者数は増加し、宿泊者数全体に占める割合は2012年の6.0%から2017年には15.6%へと大きく上昇している。
2017年の広島県の宿泊者数は延べ963万人となっている。このうち外国人宿泊者数は全国同様年々増加しているが、宿泊者数全体に占める割合は9.6%と、全国に比べ低位となっている。
宿泊者数の増加に伴い、ホテルは高稼働で推移しており、2017年の広島県のシティホテルの客室稼働率は85.0%と大阪府に次ぐ全国第2位となっている。
広島市の観光客数は7年連続して過去最高を更新しており、特に2017年の外国人観光客数は2010年の4.5倍となっている。しかし宿泊者数は2017年には減少に転じており、これに伴って宿泊率も39.8%と前年(43.0%)から低下している。
なお、広島市の人口千人あたりホテル客室数は9.4室であり、人口規模が百万人台の他の政令指定都市と比較すると少ない状況である。
更なる需要増加を見込んで広島市内中心部ではホテルの新設が相次いでいる。客室数は2017年3月末の11,252室から、2022年には2割強増加の約13,700室となる見込みである。
広島市のホテル需給について検討を行った結果、外国人宿泊者数が順調に増加すると想定した場合、ホテルの供給不足が続くとみられるが、外国人宿泊者数が予想以上に伸びない場合は、供給過剰に陥る可能性がある。
広島市のホテルの対応の方向性としては、大きくは
(1)「他社との差別化」により自社の魅力を高めること
(2)「地域との連携を強化」することにより、宿泊に繋がる魅力づくりを進めること
の2点が挙げられる。