広島の「食」を世界へ
アグリ協議会が商談力向上を支援

ひろしま産業振興機構

 広島県内の食品メーカーの海外展開を強力にバックアップする「アグリ協議会」が、設立から15年を経て、各社の戦略・取り組みが明確になってきた。2009年に民間主導で発足し、(公財)ひろしま産業振興機構が事務局を担う同協議会は、現在51の企業・団体が加盟する組織へと成長した。当初は海外現地での商談会や見本市・物産展への出展が中心だった活動は今、各社のターゲットの多様化に合わせ、より実践的で専門性の高い支援へと軸足を移している。


米国法対応講座を実施

商談スキル向上や法規制対応へ

 近年、同協議会が最も注力しているのが「個社の実戦力の強化」である。以前のように補助金を活用して合同で特定の地域での販路開拓活動を行うスタイルから、各社が自社のターゲットとする市場で確実に成果を出すための支援へとシフトした。
 その象徴的な活動が「商談スキル向上セミナー」である。海外バイヤーとの商談は通常30分枠だが、通訳を介すと実質的なPR時間は約15分に限られる。この短時間で「他社との差別化」をいかに明確に伝え、バイヤーの心を掴むか。セミナーでは講師がバイヤー役を務める模擬商談を実施し、プレゼン資料の改善点や想定質問への回答準備までを徹底的に指導する。この「リハーサル」を通じたブラッシュアップは、参加企業から「自社の強みが明確になり、自信を持って本番に臨める」と高い評価を得ている。
 また、輸出ハードルの高い欧米市場への関心の高まりを受け、現地の法規制への適応にも力を入れる。特に米国輸出に必須となる「米国食品安全強化法(FSMA)」への対応資格取得講座は、地元で低額に受講できる機会として好評だったという。資格は「人に紐づく」ため、担当者の交代による空白を埋めるべく7年ぶりに再実施されたこの取り組みは、広島企業の米国展開を実務面から支えている。

フランスバイヤーとの商談

仏パリで人気店のバイヤーと商談

 昨年7月には、パリで急成長中の日本食・日本食文化の発信施設「iRASSHAi(いらっしゃい)」の社長と物流担当者を招聘。当施設は小売り、レストラン、カフェ、料理教室などを融合させた店舗で発信力が高い。広島・福山で商談を行った後、福山市鞆の浦のみりん工場を視察してもらった。伝統的な製法や歴史を肌で感じ、広島の「食のストーリー」に深く共感してもらった。結果として、継続的な発注に加え、独自提案した商品も採用が決定した。フランス市場では「抹茶」や「柚子」の人気が非常に高く、過度なプラスチック包装を避けるエコ志向など、現地特有のニーズを直接収集できたことも大きな収穫となった。


福山市のみりん工場を視察

食品業界でつながり経験共有

 同協議会のもう一つの大きな魅力は、会員企業間の横のつながり。3月6日には会員ほか、一般企業からも参加を募り、交流会を開く。製品ジャンルの枠を超え、広島の食品メーカーが一丸となって海外へ挑む土壌を育んでいく。

■ 公益財団法人 ひろしま産業振興機構 国際ビジネス支援センター 会員数:266
県内企業の国際ビジネスを総合的に支援することで、県内産業のグローバル化を促進し、県内産業の発展を図っている。
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「広島経済レポート」2025年2月19日号掲載記事より