《東広島》経営相談拠点が軌道に
新美術館で芸術文化の街へ

21年の地域経済② 広島経済レポート

写真提供:広島県

経営相談1500件

 東広島商工会議所が2020年2月に開いた無料の経営相談拠点「ハイビズ」は、1回1時間の面談を通じて各事業者の強みを深掘りし、経営者の悩みや課題解決に向けた伴走型支援に力を入れる。相談予約は一時1カ月待ちの状態が続き、12月末時点で延べ1500件以上の相談に応じた。相談をきっかけに新商品や新事業、販路開拓などに成果を挙げている。例えば老舗和菓子店が開発したSNS映えするスイーツや、飲食店のオンライン飲み会専用おつまみセット、タクシー事業者が手掛ける生活救援事業、資格を生かして事業化した格闘技エクササイズ教室などがスタートを切った。
 個別の企業支援に加え、事業者同士のマッチングやコラボ、セミナー開催などにも注力する。11月の市立美術館移転オープンの際には近隣の日本酒立ち飲み店やコーヒー店、ラーメン店など計5つの事業者の調整役となり、各店が〝アート〟にちなんだ新商品を展開する共同企画を実施。美術館の移転オープンを地域一体となって盛り上げた。12月には商品やサービスの認知度向上、SNSを活用した情報発信などをテーマに、セミナー「売上につながる!PR活用術」を初めて開いた。三嶋竜平センター長は、
「全国のビジネスサポートセンターとの情報共有にも力を入れ、行政と連携した経営支援に注力したい」

市立美術館が移転オープン

 20年11月、東広島市立美術館が西条栄町に移転オープンした。旧美術館は1979年に八本松町に開館。中国地方で最も古い市立美術館として親しまれてきた。旧館の老朽化に伴い、市が約21億円かけて鉄筋4階建て延べ約4000平方㍍、展示室約900平方㍍を整備。展示スペースは以前の約2・5倍となった。隣接する西条中央公園や芸術文化ホールくららとともに、市民の文化芸術活動の拠点として一体的な活用を図る。開館から46日目の12月18日には累計の来館者が1万人に達した。

ご当地映画が21年秋に公開

 吟醸酒の父と呼ばれる安芸津町出身の醸造家、三浦仙三郎が題材の映画「吟ずる者たち」の撮影が20年12月に終了した。例年の酒まつり開催の時期に合わせ、21年10月上旬の公開に向けた準備を進めている。映画はオール広島ロケで東広島の白牡丹酒造や福美人酒造、賀茂鶴酒造、今田酒造本店に加え、呉市の林酒造、竹原市の藤井酒造などで18年11月から撮影が行われていた。日本酒ブームの到来と、観光回復への追い風に期待がかかる。