トップリーダーの育成機関として 愛・規律・学びあふれる組織目指す (社)広島青年会議所(広島JC) / 林 秀樹 理事長(山崎本社社長)

□■━━ 広島経済レポート|2025年新春インタビュー ━━■□

―1月1日付で広島青年会議所(JC)理事長に就いた抱負をお聞かせください。

今年度の基本理念に「士魂商才」を掲げた。これは日本近代経済の父と称され、昨年に1万円札の顔となった渋沢栄一氏が説いたトップリーダーとしての教えだ。士魂とは古き良き日本人としての精神性を示し、他者への深い思いやりや道徳、礼儀を重んじる姿勢、自らを磨き続ける姿勢を、商才はビジネスにおける知識やスキルはもちろん、考え、話し、聴き、行動する力を指す。士魂で相手の心を動かし、商才で納得感を得る。感情と論理。トップリーダーには真の仲間を増やすためにこの両輪が必要だ。
私には現在の日本の状況と、この言葉を残した明治初期が重なって映る。約260年という長期政権だった江戸幕府も黒船到来や開国などをきっかけに倒幕へと時代のうねりが向かい、さまざまな価値観が一変した。現代に目を向けると、変化が早く不透明なことを示す「VUCA」と呼ばれるほど、将来の予測が困難な状況にあり、企業の存続は当たり前ではない時代だ。私たち会員はそんな中、時間と労力を費やしてJC活動をしている。だからこそ、会社の未来をけん引するトップリーダーとして成長するために、覚悟を持って活動に取り組まなければならない。ありがたいことに、広島の経済界の中核を担う方にはJCの先輩が多くいる。明るい豊かな社会の実現を目指し活動することはもちろんだがその前に、「JCに入会すれば一人の経済人として圧倒的に成長できる」というトップリーダーの育成機関であり続けることにこだわりたい。

―新年度の主な事業計画は。

「高みを貪欲に目指すひとづくり」と「圧倒的な国際知名度を生かしたまちづくり」だ。人は目標とした到達点以上のところには届かないと考えており、1番を目指さないと決してトップは取れない。多くの人と手を取り合い、ともに目指し挑戦していくプロセスに価値があるのは当然だが、高い目標を達成した時にしか味わえない別格の価値が存在するのも事実だ。私たちは多くの人に輝かしい未来を見せるトップリーダーを志す集団であり、迷わず1番を目指し、達成したい。この経験を味わった人は、さらなる高みを目指し続け、同様の挑戦者をこのまちに引き寄せていくはずだ。こうして挑戦する市民が増えることで、常に進化し続けるまちとなると考えている。
現在のインバウンド数の好調を維持できるかどうか、今が大きな分岐点だ。私たちは外国の人からみれば一個人の前に、〝広島〟そして〝日本〟の人として見られている。だからこそ市民が一丸となり、受け入れる側のあり方はもちろん、観光客の求めていることをくみ取り仕掛けていくことが必要だ。この運動が広島のファンを世界中に増やす一歩となり、中長期的なまちの発展へとつながっていく。

―JC活動の姿勢について伺います。

JC入会2年目で活動がいやになった時、私のために涙を流し説得してくれた先輩がいた。この時、感情と論理に加え、人を動かすための最後の鍵は〝本気〟であることに気付いた。「1・01の法則、0・99の法則」があり、1%の努力を1年間継続すると37・4倍に成長できるとされる。しかし人間は自分に甘い生き物だ。自分の限界を超える負荷をかけることも、本気になることはそう簡単ではないからこそ、仲間の存在が重要だと考える。同じ1年間を過ごすならば、ともに刺激し、ぶつかり、支え合いながら苦難に立ち向かっていく。この挑戦を最高の成長の機会と捉え、楽しんでいきたい。

広島経済レポート|2025年新春号掲載