【観光特集】万博チャンスにインバウントを取り込む③ リーガロイヤルホテル広島 代表取締役社長 室 敏幸氏に聞く

□■━━ 広島経済レポート|2025年新春特集 ━━■□

コロナ収束や2023年のG7広島サミット開催効果で観光客が増え、県内に活気が戻ってきた。同年の県の外国人延べ宿泊者数は19年比9・2%増の約144万人泊。また直近では市内シティーホテルの客室稼働率が24年9月に77・3%で全国3位となるなど人気の高さがうかがえる。国内外のホテル事業者が広島に進出を計画する中、地場ではリーガロイヤルホテル広島も新ホテル開業を予定する。総支配人でもある室敏幸社長に、直近の宿泊者の傾向や滞在を促す仕組み、インバウンド対応について聞きました。

受入体制の強化やホテル新設 インバウンド誘致に注力

リーガロイヤルホテル広島 / 代表取締役社長 室 敏幸氏
―直近1年間の宿泊者の傾向や万博期間の予約状況は。

インバウンドの割合は以前2割ほどでしたが、24年は3割にのぼるペース。直近の傾向では、パッケージツアーを利用せずに個人で海外旅行を楽しむ層が増えた影響なのか、予約日から宿泊日までの期間が短くなってきています。特にアジア圏からのお客さまにその傾向が強く、以前は1カ月前には予約される方が大半でしたが最近では1週間前の予約も増えています。 万博期間の予約や問い合わせは当ホテルではまだないのですが、1月から予約が増えるのではないかと想定しています。

―宿泊してもらうための施策は。

24年から海外からのお客さま向けの連泊プランを設けており、少しずつ予約が入ってきています。また、広島空港発着の直行便が増えたことで韓国をはじめとするアジア圏のお客さまの利用が伸びています。また、当ホテルでは数年前からナイトタイムエコノミー(夜間の経済活動)を推進し、ホテル近辺のひろしま美術館などと連携。美術・演劇を掛け合わせたナイトミュージアム鑑賞券付き宿泊プランを期間限定で販売しましたが、国内のお客さま向けでインバウンド向けには販売していませんでした。近年は訪日客向けの飲み歩きツアーの人気が高まっていると聞き、宿泊プランとして取り入れられないか考案中です。

―27年秋には新ホテルが開きますね。

リーガロイヤルホテルグループとして県内2棟目となる全167室のホテルを中区東平塚町4―7に開業します。和の要素を取り入れた内装など当ホテルとは異なるコンセプトとし、大浴場も備える予定です。宿泊の施策部分でも話しましたが近年は飲み歩きする訪日客も多く、流川から徒歩10分程度と立地が良いため、より需要を取り込めると期待しています。

―インバウンド対応に関して、現在の取り組み内容と今後の展開は。

当ホテルの取り組みとしては23年から外国人雇用に注力し、24年春には韓国・台湾・エジプト国籍の計5人が入社。外国人スタッフ向けに実技・筆記試験も兼ねた日本語の研修を月1回ペースで開いています。また全従業員を対象に、英語・フランス語・スペイン語など4言語を話せるスタッフによる研修も実施しています。

加えて1階のデジタルサイネージを多言語化したり、他国の文化や習慣の違いなどを全従業員向けに配信して理解を深める取り組みも。実際に外国人客からは「会話や滞在に全く困らなかった」という満足の声を頂いています。私たちが海外を訪れた際に、日本語が通じてホッとするような気持ちをインバウンドの方にも提供したいですね。今後も国内外問わず全てのお客さまに温かいおもてなしができるよう、日々取り組んでいきたいです。

広島経済レポート|2025年新春号掲載