《広島再開発》サカスタ・ヒロパ開業へ 中心部の回遊性向上②

□■━━━ 24年の地域経済②|広島経済レポート ━━━■□

▲2025年春にかけて段階的に改装するそごう広島店。

紙屋町周辺~本通の活性化・再開発

所在地 / 中区基町6-27(そごう広島店)、同6-78(パセーラ・基町クレド) 本通3丁目一帯(広島本通商店街)
─── そごう広島店が全面改装 中心部の百貨店として存在感高める

 今年50周年のそごう広島店は約20年ぶりに全館改装する。地下2階~地上10階を段階的に進め25年中に完了。30年近く営業したNTTクレド基町ビルの新館を昨年8月末に閉め、ブランド店の一部を本館へ、直営で中国地方初だった生活雑貨ロフトは本館と同じ建物のアクア広島センター街に移った。一方でセンター街1、2階の運営を継ぎ、売り場は1割増床の約3万6000平方㍍に。
 昨年9月、セブン&アイHDがそごう・西武を売却し、米投資ファンドが親会社となったが、広島店は地方で唯一維持。改装は計画通り実施する。市内中心部の百貨店として存在感を高める方向で、慎重にリーシングを進めている。化粧品やハイブランドを充実、広島初などを計画する。
 中国5県の全百貨店売り上げは22年で1963億円と、この10年で30%以上減った。リアル店舗の魅力をどう打ち出すか。集客し回遊性を促す改装が鍵を握る。

─── そごう新館跡を活用 新生「パセーラ」開業へ
▲多様なイベントを開き、幅広い層が集う空間を目指す。

 NTT都市開発は昨年8月に営業を終えた「そごう新館跡」を改装し、隣で営業中のパセーラと共に新生「パセーラ」として25年度以降に順次開業する。
 コト消費、トキ消費をテーマに、6階より高階層にエンターテインメント性のある体験型施設、地下1階と低階層にアパレル・飲食を誘致。中階層にはワンフロア型の大型テナントなどを検討している。
 バスセンターやリーガロイヤルホテルとつながる6階部分は、広島城を一望できる屋上庭園「スカイパティオ」を全面リニューアル。24年春をめどに先行して供用を始める。ファミリー層が楽しめる噴水・遊び場を設けるほか、サッカーのパブリックビューイングやルーフトップバーなどのイベントを開き、幅広い層が集う空間を目指す。

─── 本通3丁目地区の再開発 南棟46階・北棟34階で33年度完成へ

 中区の「本通3丁目地区市街地再開発準備組合」は「中心市街地におけるにぎわい創出・周辺地域との回遊性の向上をはかる」をコンセプトに再開発の勉強会を行っている。
 同準備組合は野村不動産(東京)を事業協力者に決め、2021年3月に発足。土地所有者、借地権者ら地権者は計35人(登記簿調べ)で、22年12月に再開発対象エリアに三井住友銀行広島支店が入るオフィスビルなどの区画が加わった。本通商店街を挟み南棟46 階はマンション、北棟34階はホテル、オフィスの再開発ビルを建て、周辺に地下2階・地上3階の低層棟を配置する構想。延べ床面積約15万3000平方㍍で、低層階に商業施設を誘致する。23年3月に環境影響評価(アセスメント)実施計画書を市に提出し、2~3年内の都市計画決定を目指す。決定後に本組合に移行し、早ければ28年度に着工、33年度の完成を目標にする。
 23年6月に原田亮二前理事長に代わり、田中宣永和光社長が新理事長に就任した。「多世代の集客・交流― 人・モノ・情報をつなぐ」(シェアオフィス、パウダールーム等)、「憩いの場の創出― 安全安心のコミュニティをつなぐ」(芝生広場、災害時の避難空間等)、「観光連携・魅力発信―歴史・文化・活動をつなぐ」(観光案内・伝統文化の発信機能等)、「産業創出・活性化支援―ニーズとシーズをつなぐ」(イノベーション拠点整備、チャレンジショップ等)の4テーマを設定。同7月に大阪市梅田北の再開発で商業施設、ホテル、コンベンションセンター、マンションなどが入る「グランフロント大阪」、西宮球場跡地再開発の「阪急西宮ガーデンズ」(兵庫)を視察した。今後も勉強会や視察を通じ、再開発計画を具体化していく。
 地権者が主体となるような勉強会の運営、意見交換を活性化させるための手段として、少人数による勉強会(10人前後)の開催など、今まで以上に地権者間のまとまりを持って進めていく工夫も実践している。将来にわたって魅力的な商業施設を目指すため、商業に関する専門家も交えた意見交換も実施していく方針。
 現在、事業協力者の野村不動産も広島都心会議へ加入し、地域企業との連携強化も図っているが、準備組合としてもエリアマネジメント会社や地元企業、商店街振興組合、観光連盟、広島駅前やゲートパークとの連携を図り、広島中心部の活性化を促進する取り組みも行っていく予定。
 周辺では、商業施設サンモールのある「紙屋町2丁目2番地区」で再開発の計画がある。



広島経済レポート2024年新春号掲載記事