全国的な解体需要にらみ広域展開を本格化
施工協力会社をネットワークに営業強める

株式会社大前工務店

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 全国的な建物解体需要を受け、好調な受注が続いている。東京支店を拠点に営業エリアが拡大。大手ゼネコン経由の大型工事がけん引する一方、建設業許可業種(2016年6月から)として官公庁の解体工事を直接受注する機会も増えてきた。施工協力会社でつくる「大前工務店災害防止会」のネットワーク機能を高め、広域展開を本格化していく。
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技術問われる焼却炉の解体

 2019年4月、奈良県桜井市( 4 億円)、兵庫県川西市( 2 億5000万円)、広島市中区(6億円)の旧焼却炉の解体工事を完了した。いずれも大手ゼネコン経由で受注~施工。全国の政令指定都市を中心に、旧炉解体需要を見込む。
 焼却炉の解体は健康被害を起こすダイオキシンの対策が必須。00年施行のダイオキシン類対策特別措置法を受け、策定された解体指針に基づき、ばく露防止などの特殊工事を施しながら、作業員の安全や周辺環境への対策を徹底。実績を強みに、年間数件ベースの受注を見込む。

ネットワークで情報収集~施工

 現在、広島エリアで全売り上げの60%を占める。中区紙屋町・八丁堀地区が国の都市再生緊急整備地域の指定を受け、17年3月策定の〝ひろしま都心活性化プラン〟と合わせた需要をにらむ。一方、拠点を置いた東京、東北方面の受注が増え始め、向こう2年で県外受注を50%に引き上げる構え。沖縄は今後、米軍関連を見込む。
 広域展開と直接受注体制の強化へ、土木や建築の1・2級施工管理技士などの有資格者(現35人体制)を増員し、原価管理を強化するため18年10月には購買部を設置。同年1月設立した施工協力会社50社(県外8社)でつくる災害防止会を通じて、引き合いや最新工法の情報などを共有するとともに特殊施工などの受注協力体制も整えた。研修会などを開いて工事の品質向上や安全対策は無論、経営の研さんも図る。

本業に徹し、全国大手目指す

 19年6月期決算は前期比23%増の売上高で32億円を計上。十数億円で推移していた売り上げは20億円台が3期連続し、20年6月期は38億円を見込む。建設系廃棄物リサイクルの山陽工営と合わせ21年でグループ売上高55億円の目標を掲げる。大前慶幸社長は、
「解体と産廃リサイクルに徹し、総合解体工事業者として全国大手入りを目指したい。都市再整備で解体需要は底堅く、20年の東京五輪、25年の大阪万博とビジネスチャンスが続く。工事の施工品質を高め、組織的な受注活動を強めていく」
アスベストやダイオキシン対策工事に、土壌汚染処理工事も手掛ける。解体需要の活況を受け、山陽工営は、隣地を広げる計画だ。

業界全体の向上願う

大前社長の祖父が始めた家屋の移設業が前身。2代目の昭義会長が解体工事業に絞り、現在の礎を築いた。大前社長は30歳で社長に就き20年で7年目。西日本豪雨など度重なる近年の災害に、
「解体・産廃業界の初動や協力体制は復旧・復興を早める決め手。組織化とネットワークで有事に役立ち、業界全体の質向上も図りたい」
 経営理念は「歓ばれることに喜びを」、社是「挑戦」が原動力だ。

会社概要

株式会社大前工務店
本社:広島市西区己斐本町2-12-30大前ビル
設立:1976年7月
資本金:3000万円
売上高:32億円(グループ42億円、2019年6月期)
従業員数:63人
事業内容:建物・構造物解体工事業
T E L:082-273-0508
U R L:http://www.omae-k.co.jp/

※2019年8月当時の情報です。