製材メーカーで国内トップ
秋田県能代市で新工場着工
中国木材株式会社
国産材の適切な活用で脱炭素化社会に貢献
製材メーカーで国内トップ。木造住宅や大規模木造建築物等の構造材(柱・梁・桁など)を製造・販売し、加工から納品までを一貫して行っており、全国で1年間に建築される木造住宅40万戸中、約3分の1が同社の製品を使用している計算になるという。注文には全国10カ所の物流拠点から翌日には発送できる独自の流通網を確立。全国の住宅メーカー・プレカット工場・建材商社などへ「多品種・即納・欠品なし」で製品を供給する。2019年6月期決算では1200億円の売上高を達成。22年6月期はウッドショックの影響で木材価格の高騰が続き、過去最高の売上高1900億円強を見込んでいる。
国産材の活用を拡大へ
主力は強度に優れた北米大陸のベイマツ。世界トップクラスの林産会社の米ウェアーハウザー社と直接輸入取引しており、専用の原木運搬船が工場隣接のバースに接岸し、原木を運び込む一貫体制を敷く。会長が自宅建設で体験した不具合から研究開発したベイマツ乾燥材「ドライ・ビーム」はその国内シェアで95%以上を誇る。一方、近年は国産材にも注力。国産材は軽く、日本の風土に合うことから評価が高まっており、国産スギとベイマツを組み合わせた「ハイブリッド・ビーム」は累計販売量136万立方㍍(約39万戸分)を達成した。国産材加工拠点は本社や鹿島工場(茨城県)に加え、年間原木取扱量70万立方㍍と国産材では国内最大の日向工場などを持つ。22年6月には、全国6カ所目の国産材製材拠点で東北では初となる秋田県能代市で新工場建設に着工。24年1月、製材工場の本格稼働を目指す。木材を製材する過程で出る樹皮・木材チップ・オガ粉を燃料とした木質バイオマス発電にもいち早く着手しており、工場内のエネルギー供給を賄うほか、固定価格買取制度(FIT)での売電を実施。日向工場と郷原工場では、新たなバイオマス発電施設を建設中で、23年中の稼働を予定。これらの完成で既存の施設を加えた同社(合弁含む)の発電能力は約10万㌔㍗となり、年間の売り上げ換算で160億円規模の事業となる。
日本の林業が採算面から事業維持が難しい状況にある中、国産材の供 給や価格の安定に向け山林取得を推進。現在の自社林の面積は東京の山手線内側よりも大きい8602㌶で、23年6月までに1万㌶を目指す。国が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したことでSDGsや持続可能性が一層意識されており、森林はCO2を吸収することから重要性は増すとみる。木材は樹齢の若い木の方がCO2の吸収量が多い。戦後植えられた木を伐って活用し、新しい苗を植える循環型林業の活性化へ、活用と育林の両面に力を注ぐ。21年10 月には法律の改正で木材の利用促進方針が公共建築から民間建築にも拡大された。木材を利用すれば二酸化炭素を減らし、脱炭素に貢献すると期待されており、22年5月には国内の木造で最高となる44㍍の11階建て高層ビルが竣工。今後より一層木材への注目が高まるとみる。
国内の住宅着工件数の減少が見込まれる中、内装材や輸出など新たな需要開拓にも注力。無垢の風合いを生かした面材「ムクボード」のほか、「カフェ板」、「リノベ柱」などを商品化した。昨今のDIYブームに加え、DIYの手順を丁寧に説明した専用サイトも制作している。
会社概要
中国木材株式会社
本 社:呉市広多賀谷3-1-1
設 立:1955年1月20日
資 本 金:1億円
売 上 高:1900億円(2022年6月期見込み)
従業員数:2719人(グループ、派遣含む)
事業内容::木材の製材および乾燥材・集成材の製造販売・輸出、プレカット加工、原木および製材製品の直輸入、木質バイオマス発電
T E L:0823-71-7147
U R L:http://www.chugokumokuzai.co.jp/
※2022年8月当時の情報です。