製材メーカーで国内トップ
秋田県能代市で新工場稼働
中国木材株式会社
バイオマスエネルギーでCO2削減に貢献
製材メーカーで国内トップ。木造住宅や大規模木造建築物等の構造材(柱・梁・桁など)を製造・販売し、加工から納品までを一貫して行っており、全国で1年間に建築される木造住宅36万戸中、約3分の1が同社の製品を使用している計算になるという。注文には全国10カ所の物流拠点から翌日には発送できる独自の流通網を確立。全国の住宅メーカー・プレカット工場・建材商社などへ製品を供給する。
国産材の活用を拡大へ
主力は強度に優れた北米大陸のベイマツ。世界トップクラスの林産会社の米ウェアーハウザー社と直接輸入取引しており、専用の原木運搬船が工場直結の岸壁に接岸し、原木を運び込む一貫体制を敷く。最高顧問が自宅建設で体験した不具合から研究開発したベイマツ乾燥材「ドライ・ビーム」は、住宅用横架材において、単一商品としては異例の国内シェア23%の高さを誇る。
23年8月、鹿島工場の製材棟で火災が発生。この影響でべイマツの製材量は一時通常の約6割まで減少したが、本社など他工場で増産体制を整え、現在は8割までに回復。これを機に供給方針も改め、ドライビームの売れ筋サイズに重点を置く生産体制とした。
一方、ベイマツは米国内の需要が高く価格が高止まり傾向にあることから、国産材の強化で供給と経営の安定化を図る。国産材は軽く、日本の風土に合うことから評価が高まっており、国産スギとベイマツを組み合わせた「ハイブリッド・ビーム」は累計販売量153万立方㍍(約43万戸分)を達成した。国内の加工拠点はベイマツを扱う本社や鹿島工場(茨城県)に加え、年間原木取扱量60万立方㍍と国産材で最大の日向工場などを持つ。24年1月には、全国6カ所目の国産材製材拠点となる秋田県能代市で新工場が稼働開始。
製材する過程で出る樹皮・端材・オガ粉を燃料とした木質バイオマス発電にもいち早く着手しており、工場内のエネルギー供給を賄うほか、再生可能エネルギーとして、FIT制度・FIP制度による電力販売を実施。新たなバイオマス設備として、23年は、郷原工場2号機(呉市)、日向工場2号機(宮崎県)が稼働。鹿島工場内でも新規設備が稼働開始しており、合計発電能力は約8万3000㌔㍗、年間の電力売り上げは130億円を見込む。
日本の林業が衰退する中、国産材の供給や価格の安定に向け山林取得を推進。自社林の面積は23年4月に1万㌶を達成した。国が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したことでSDGsや持続可能性が一層意識されており、森林はCO2を吸収することから重要性は増すとみる。木材は樹齢の若い木の方がCO2の吸収量が多い。23年、苗木生産の長倉樹苗園(宮崎)を子会社化し恒常的な苗不足解消に向け安定供給体制の構築に注力。戦後植えられた木を活用し、新しい苗を植える循環型林業の活性化へ、活用と育林の両面に取り組む。木材を利用すれば生産段階でのCO2を減らし、かつ固定化することで脱炭素につながる。堀川保彦社長は、「気候関連財務情報
開示タスクフォース(TCFD)の義務化などを追い風に、低層施設だけでなく中高層建築物の木造化も一層進む。国内では数少ない大径木の受け入れ体制も強化し、循環型林業の活性化に寄与したい」とする。
会社概要
中国木材株式会社
本 社:呉市広多賀谷3-1-1
設 立:1955年1月20日
資 本 金:1億円
売 上 高:1250億円(2024年6月期見込み)
従業員数:2783人(グループ、派遣含む)
事業内容::木材の製材および乾燥材・集成材の製造販売・輸出、プレカット加工、原木および製材製品の直輸入、木質バイオマス発電
T E L:0823-71-7147
U R L:http://www.chugokumokuzai.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。