特殊印刷機の国内トップメーカー
世界ナンバーワンへ研究・開発加速
富士機械工業株式会社
世界40カ国に納入、海外シェア拡大
特殊印刷機の国内トップメーカー。食品包装用プラスチックフィルムなどの製造に使われる「グラビア印刷機」、缶詰や飲料缶などに印刷する「金属印刷機」、フィルムやアルミ箔など異素材を貼り合わせる「ドライラミネーター」、さまざまな材料の表面に薬品や塗料などを均一に塗る「コーター」の4事業を展開する。高品質・高耐久性を強みに、国内ほか世界40カ国に納入している。
圧倒的な業界シェア
金属印刷機は国内シェア約98%を占める。近年は新興国を中心に引き合いが増え、世界でもトップクラスに成長。グラビア印刷機の用途は食品包装をはじめ、家具・家電製品の木目印刷など多岐にわたり、ラミネーターと共に国内の約6割が同社製だ。
コーターは電気自動車(EV)のリチウムイオンバッテリーの製造工程などに使われる。高速で薄く塗布する技術が評価され、2018年に経済産業省の「ものづくり日本大賞」で特別賞を受けた。材料ロスの低減や高い加工精度を実現し、顧客企業の生産性向上に寄与。EVの需要増を受け、中国など海外からの受注が急伸している。
印刷業界の課題解決へ開発加速
印刷業界では作業現場の人手が不足し、生産効率の低下も問題となっている。これらの課題を解決しようと、次々に新たな技術を開発している。
次世代フラッグシップモデルとして21年に発表したグラビア輪転印刷機「FSRⅡ」は新開発のオートメーション技術を採用。業界で初めて、インキを補給するゴムローラー(ファニッシャーロール)と版胴を同時に全自動で装脱着できるようにした。台車による搬送や目視による確認作業が不要になり、段取り時間を従来の半分、一色当たり5分程度に短縮。和田龍昌社長は「これからも省人化・省力化につながる製品を開発・提案し、印刷業界の職場環境改善に役立ちたい」と意気込む。
近年は菓子の期間限定品など商品の多品種化によって小ロット印刷のニーズが高まり、対応印刷機の開発にも力を入れるほか、環境に配慮した印刷技術も研究している。
多様な人材が活躍
多国籍の人材が活躍し、ここ3~4年でタイ、ベトナム、中国、インド出身の新卒社員が仲間に加わった。グローバル企業を目指し、商品開発などに彼らの考え方や視点を積極的に取り入れている。
育児休業からの復帰率100%
産・育休のほか、子どもの急な発熱などの際に部署内でカバーし合う体制ができており、家庭と仕事を両立できる環境がある。近年は男性社員の育休取得を推進。体験談を社内報に掲載するなど、取得しやすい雰囲気づくりを心掛ける。ここ1~2年で時差出勤制度も新設。介護や子育てなどのために活用されているという。今後は女性採用をさらに強化し、さまざまな部署で登用を進める方針だ。
DXを推進
23年に専門部署を設けてDXも推進する。生産管理システムの新規導入などを検討している。和田社長は、
「今後も時代に求められる製品を生み出すために、常に将来を見据えた挑戦を続け、世界ナンバーワンを目指す」と意気込む。
会社概要
富士機械工業株式会社
本 社:東広島市八本松飯田2-7-1
設 立:1951年7月
資 本 金:4億5000万円
売 上 高:121億7400万円(2023年8月期)
従業員数:221人(2023年8月期)
事業内容:グラビア印刷機、ラミネーター・コーター、金属印刷機など産業用機械の開発・設計・製造・販売
T E L:082-428-2450
U R L:https://www.fujikikaikogyo.com/
※2024年9月当時の情報です。