食品パッケージ卸で地場最大手
「食」の顧客価値創造企業へ
株式会社シンギ
食文化の発展と環境問題に注力
食品パッケージを扱い全国に15の支店、営業所と四つの物流センターを持つ地場最大手。素材・形状・デザインの異なる20万種類の中から最適な容器を提案し、豊かな食生活や食品流通を支える。全国の駅弁事業者や興行施設などに商品を卸しており、業界内での知名度も高い。
元々はメーカーとして創業し、一時期は商社色が強かったが、今は再びメーカー機能が大きくなりつつある。仕入れて売るだけではなく、社内デザイナーが連携し、オリジナルパッケージの企画から手掛けることも多い。2024年4月には仙台支店を拡張移転。東北エリアの物流拠点としても活用し、商品の安定供給につなげている。ニーズが多様化する中、豊富な専門知識と提案力が求められ、社員の能力向上にも注力。業務に関する通信講座の受講費の全額補助や民間資格の包装管理士の取得などを推奨し、提案力の向上につなげている。
環境配慮への取り組み
近年は海洋プラスチックごみ問題やプラスチック資源循環促進法を受け、環境に優しい商材の提案に注力。サトウキビの搾りカス「バガス」を原料にした包装容器や、使用後にリサイクルしやすいものなどエコ製品の品ぞろえを充実させる。また、22年秋に発売したバガスモールド製のお好み焼持ち帰り容器「ひろまるバガス」は、機能性やデザイン性が高く評価され、第18回ひろしまグッドデザイン賞で優秀賞を受けた。
冷凍食品の販売事業
凍結機の販売導入サポート事業を拡大するなか23年5月には、冷凍食品を販売する新事業「時空食堂」ブランドを立ち上げた。取引先がつくる弁当やお好み焼きなど約50種を専用サイトで販売する。オリジナル商品として、駅弁メーカー各社の協力を得て開発した「冷凍駅弁おにぎり」は、日本の優れた商品・サービスの発掘、海外発信を目的とする「おもてなしセレクション2023」で最高金賞に輝いた。今後はアジアや欧州での販売も計画している。
働きがい向上に注力
これまで働きやすい環境の整備に取り組んできたが、近年は「働きがい向上」にも着手。22年度は広島県から「モデル企業」選定を受け、現状把握~方針の明確化~プラン策定~実践~点検・見直し活動を行った。
その一環で、より理念を浸透させるための現場業務の改善活動「シンギらしくグランプリ」を企画。全従業員がチームに分かれて経営理念を自分事に落とし込み、チームで協力しながら企画に取り組む。活動を通じて仲間との連帯感や組織への信頼度、モチベーションの向上などにつながっているという。田中社長は、
「社是『信義』のように誠実で正しい道を進むことを基本に、食品パッケージだけでなく、食品製造機械や、半製品など、また海外にも販路開拓をしながら事業領域を拡大しています。顧客第一主義の理念を基に、社会から必要とされ、市場や顧客に価値を創造できる企業を目指しています。環境問題や省人化対策などシンギのできることは無限にあり、常に前向きに挑戦することを楽しみ、全社員が仕事を通じてやりがいや心の豊かさを持つことができる企業作りを行なっています」と話す。
会社概要
株式会社シンギ
本 社:広島市中区南吉島2-1-24
設 立:1952年(創業1932年)
資 本 金:3億1000万円
売 上 高:232億円(2024年5月期)
従業員数:231人(24年5月時点)
事業内容:食品パッケージの企画・販売
T E L:082-241-5194
U R L:http://www.shingi.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。