アツイオモイをミライへ
技術力でものづくりに寄与
株式会社北川鉄工所
地域と共生しグローバルに事業展開
府中市に本社を置く工作機器・産業機械メーカー。1918年「北川船具製作所」を創業し、木製滑車と巻き上げ機を製造。金属部品の鋳造を始めて鉄工業への転換を図り、41年に「(株)北川鉄工所」を設立。旋盤用チャックの製造も始めた。戦後は動力ウインチやコンクリートミキサーで復興を支援。高度経済成長期にはクレーンやコンクリートプラントの技術が長大橋など大規模インフラ整備に、チャックなどの工作機器が製造業の加工技術の発展に貢献した。
現在は工作機器、産業機械、金属素形材の3事業を柱に、約150億円を投資して生産拠点の再構築を計画。本社屋建て替えを含む整備が進んでいる。
「チャックのキタガワ」
工作機器事業では、機械に加工物を固定する旋盤用チャックやNC円テーブルを主に製造する。
旋盤用チャックの国内シェアは約6割、海外でも多くの国々で使用されている。把握精度100分の1㍉㍍以内の高精度を実現した「BRチャック」は、機械工学の最先端技術に贈られる2021年度日本機械学会賞を受賞している。チャックの「モノをつかむ技術」を生かして産業用ロボットに取り付けるロボットハンドも開発。自動化・省人化を進める技術を提供する。海外販売網を再構築し、「チャックのキタガワ」としてさらにグローバル展開を加速させている。生産拠点の再編により、生産能力をさらに高める。シリンダ工場、物流センターに続き、25年春には新チャック工場が稼働する予定。
インフラを支える産業機械
産業機械事業では、タワークレーン、自走式立体駐車場、コンクリートプラントなどを製造する。
24年4月、JR福山駅前に「福山テクニカルセンター」を開所。土木・建設分野の機械と電気系統の設計部門が入り、構造解析なども行う。ビル建設用クレーン「ビルマン」は大型・小型合わせて国内トップシェアを誇り、自動運転・遠隔制御にも取り組む。発電用風車やダム建設用の特殊クレーン、高速道路リニューアル工事用床板取替機、橋梁の掛け替え装置など新分野の開発も進む。
立体駐車場は特許取得の技術で柱間最大17㍍を実現するスーパーロングスパンタイプを開発。車室周りに柱や筋交いがなく、駐車しやすさや視認性の高さで、広島空港のほか全国で採用が伸びている。
コンクリートプラントの設計製造では新たな製品や技術の開発で、産業廃棄物削減など環境配慮にも取り組む。設備洗浄時の排水「スラッジ水」に含まれるセメントを再利用する技術は23年度リサイクル技術開発本多賞を受賞した。
付加価値の高い鋳造部品
金属素形材事業では、多様な製法と素材開発から加工までの一貫生産で付加価値の高い鋳造部品を製造する。自動車部品は拠点間の連携や自動化を進め、海外生産拠点も合わせてタイムリーに提供し、EV化に対応する技術開発も強化している。
世界基準の成長に向けて
主要3事業に加え、特殊工作機械やUAV(無人航空機)など新領域にも取り組む。M&Aにより今後成長が見込まれる半導体関連事業分野にも参入。地域と共生しながら世界基準に対応した成長を目指している。
会社概要
株式会社北川鉄工所
本 社:府中市元町77-1
設 立:1941年11月(創業1918年3月)
資 本 金:86億4000万円
売 上 高:615億6700万円(2024年3月期連結)
従業員数:1427人(2024年4月1日時点)
事業内容:工作機械機器、産業機械、自動車部品などの製造・販売
T E L:0847-45-4560
U R L:https://www.kiw.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。