地域卸の存在感高める
家庭用と業務用の両輪駆動

中村角株式会社

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提案営業とローコストオペレーション徹底


 地場大手の総合食品卸。提案型営業とローコストオペレーションに徹し、地域密着の営業を展開する。経営環境は流通業界の再編や業務コスト増、マーケットの縮小など変化や厳しさが続くが、次代をにらみながら70年超の業歴を強みに成長を続け、必要不可欠とされる地域卸としての存在価値を高める構えだ。

強みを生かす

 中村角は海産乾物卸で創業。水産加工品の扱いは情報量、営業力ともに国内有数だ。北海道~沖縄の産地の旬や収穫量を把握、タイムリーで最適な商品を提案~供給する。各地に息づく食文化を担う生産者の多くは中・小規模が多く、全国大手の卸では扱いに限界がある。水産加工品は多品種少量で温度管理が難しく、賞味期限も短いが、その魅力や価値を掘り起こし、流通に乗せていく。長い業歴で培ったネットワークと目利き力で売れ筋を発掘すると同時に、生産者を育てる喜びも大きい。中村社長は、「良い商品をつくる小規模メーカーやスタートアップの成長を後押しし、新たなニーズを生み出していきたい」と地域の食文化にビジネスチャンスをみている。

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業務用を強化

 2024年3月期売上高は前期に続き300億円を超えたが、消費者の生活防衛意識の高まりなど先行きは不透明とし、地域卸の機能をアップデートする。従来から量販店中心の家庭用が主力だが、業務用をてこに成長戦略を描き、目標売上高400億円のうち250億円に引き上げる方針だ。飲食店をはじめ給食や医療・高齢者施設、中食(総菜)向けなど小口取引、多頻度対応が求められるマーケットを深耕していく。
 業務用開拓へ、新たに得意の水産加工品で切り込む戦略を打ち出し、幅広いカテゴリー商材を拡充する。精肉部門への提案も引き続き強化。中村角ならではの存在意義を発揮し、喜ばれ必要とされることで社員の自信ややりがいにもつながる。
 取引業務の効率や効果を高めるため、受注のスマホ活用や、中村社長が会長を務める全国ネットワークの日本外食流通サービス協会の配送業務を効率化する全メーカー一括配送システムで、同協会のPB商品を小ロットで調達する仕組みも整えた。スケールメリットを生かし担当エリアでの専売で、差別化を進める。参画メーカーも増え始めており、業務用仕入れ機能を強化。市販用の活用や、小規模メーカーが開発した商品も全国流通が期待できるという。

人間力を磨く

 低温食品を得意とし、大手とは一線を画す市場を獲得。チルドや冷蔵冷凍品の温度帯環境を整え、賞味期限の高精度管理にWMS(倉庫管理システム)を導入、24年秋には自動仕分け装置も稼働する。低温卸の品質強化を図り、デジタル化により生産性や業務効率を高めている。
 働きやすい環境整備も進めており、産休や育休の取得率も年々上がってきた。食を扱う業種として女性社員の感性や発想を営業に生かし、販売力をバックアップ。管理栄養士の資格者は業態別にメニューを開発できるという。展示会の独自企画にも力を発揮している。
 「さまざまな食品メーカーを扱い、販売先をつなぐ仕事は奥深く面白味がある。食に携わる一人一人の人間力が武器」と中村社長。〝基本を大切に 継続は力なり〟を掲げ、堅実経営にまい進している。



会社概要

中村角株式会社
本  社:広島市西区草津港1-3-3
設  立:1948年11月
資 本 金:1億円
売 上 高:321億5142万円(2024年3月期)
従業員数:197人
事業内容:加工水産物、加工食品・業務用食品の卸
T E L:082-501-2000
U R L:http://www.nakamurakaku.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。