個別課題に応じた海外進出支援へ
マーケットイン型の商談会を実施

ひろしま産業振興機構

海外進出に関する幅広い情報提供を行ってきた「ひろしま産業振興機構国際ビジネス支援センター」。近年は情報提供にとどまらず、マッチングやマーケティングを活用し、企業の個別課題に応じた「ソリューション型支援」に力を入れている。2月10日には香港市場をテーマとしたセミナーに加え、国内商社との商談会を開き、県内の食品企業など7社が参加。販路開拓に向け、具体的なやり取りが行われた。

香港はインバウンドの実験室 セミナーでは香港市場へのアプローチについて、インバウンド戦略研究所の清水泰正代表が講演。「香港は一人当たりの消費額が高く、安定的な訪日送客市場。訪日経験のある香港人の3人に1人が10回以上来日していることから、単なるインバウンド戦略ではなく、リピーターを意識したニーズの把握とリアルタイムな情報発信が重要」と強調した。また、訪日香港人を起点とした口コミが広がることで輸出につながり、さらに香港の後背地である広東省をはじめとする周辺地域へと市場が拡大する可能性についても触れ「香港は『インバウンドの実験室』としての役割を担い、今後の市場開拓の試金石となる」と話した。

商談会でアジアへの糸口模索 セミナー後の商談会には、事前に商社側からリクエストのあった県内食品製造業7社が参加。各社が自社製品の魅力をアピールし、海外市場の可能性を探った。

和菓子製造の山本屋(尾道市)は近年、海外市場への展開を強化しており、欧米とタイで販売実績を持ち、新たに香港市場への進出を模索している。商談会では、香港にとどまらず、ベトナムや台湾といった市場の可能性についても話題に上がり、販売先開拓への期待が高まった。

営業部の大谷歩実さんは「欧米では日本の和菓子が健康的で高品質なスイーツとして評価されていますが、アジア地域での販売実績が少なく、情報も足りていない。商談会を通じて現地ニーズを知ることができ、非常に有意義な機会となりました。今後も継続的に情報交換しながら、アジアの他の地域への糸口を見つけたい」と語った。

また、こんにゃく製品製造の寿マナック(広島市佐伯区湯来町)は健康志向の需要に応える形で開発したこんにゃく麺「ミカタゴハン」を持参した。すでに中国・台湾への出荷実績があり、さらに香港市場への進出を検討。3月発売のわらびもち風こんにゃくの新商品も海外輸出に向けて取り組む。

西日本営業部の原田大雅主任は「商談会を通じて、アジア市場でも健康食品としての可能性が広がることを実感しました。今後は市場調査を行い、現地の嗜好に合わせた商品開発も視野に入れ、海外展開を本格化させていきたい」と期待を込めた。

NYビジネス展開セミナー 今後の取り組みとして、広島空港での香港などからのインバウンド客を対象としたテストマーケティングなども計画。さらに、3月13日には米ニューヨークの海外ビジネスサポ―ターを招き、トランプ政権下の市場動向等をテーマにセミナーを予定。県内企業のグローバル展開を後押しする。

■ 公益財団法人 ひろしま産業振興機構 国際ビジネス支援センター 会員数:269
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「広島経済レポート」2025年3月6日号掲載記事より