《広島再開発》新広島駅ビル開業
にぎわう「陸の玄関」へ②
□■━━━ 広島経済レポート|2025年新春特集 ━━━■□
生まれ変わった広島駅ビルが3月24日に開業する。広島電鉄の路面電車乗り入れや、約220テナントの商業施設「ミナモア」などを着工から4年がかりで整備した大型の再開発事業だ。1日14万人が乗り降りする中国地方最大の「陸の玄関口」として人と街をつなぎ、一層のにぎわい創出や利便性の向上に期待がかかる。
アパグループ 600室の大型ホテル建設
新広島駅ビル周辺では、アパグループ(東京)が2028年春の開業に向けて「アパホテル&リゾート広島駅前タワー」(600室)の建設を進める。
フタバ図書ギガ広島駅前店跡地の1270平方㍍に、地上32階建て延べ1万3500平方㍍を新築する。日企設計(大阪)が設計し、施工は熊谷組(東京)。客室はスイート、デラックスツイン、バリアフリー、隣接した2部屋を行き来できるコネクトルームなど、観光やビジネスといった幅広いニーズに対応する。最上階の展望プール、大型レストランに大浴場、サウナ施設も計画。2階にフロントを設け、駅ビルの2階とペデストリアンデッキで結ぶ。
同社は昨年7月に「アパホテル広島駅前新幹線口」(294室)、10月には「同広島駅前スタジアム口」(242室)を相次ぎオープン。現在4棟のホテルを県内で運営し、駅前タワーが開業すればグループとしての総客室数は県内最大級の計1954室となる。
駅南のホテルセンチュリー21広島跡地(南区的場町)では、総合不動産のサムティ(大阪)が27年下期に全301室のホテル「VOCO(ヴォコ)広島」を開業する。英国のIHGホテルズ&リゾーツの同ブランドは、大阪に次ぎ国内2棟目。
敷地1500平方㍍に、地上18階建て延べ1万7400平方㍍を建設。3月1日をめどに着工する。
レストラン、トレーニングジム、ミーティング室を備え、災害時などに帰宅困難者が一時避難できるようにする。IAO竹田設計(大阪)が設計し、施工会社は未定。
サムティ広島支店の内田博也支店長は「新広島駅ビルの開業や路面電車乗り入れで、今後は駅周辺が一層にぎわう。ペデストリアンデッキが完成すれば新ホテルは駅直結に近いイメージになる」と期待を膨らませる。
駅北口の二葉の里地区では、大和ハウス工業(大阪)が10階建てのオフィスビル「ディールヒロシマ」を建設している。隣地では住友不動産(東京)が33階建ての高層ビルを計画。大和ハウス工業は2025年末ごろ、住友不動産が27年の完成を目指す。
用地は住友不動産が21年にスウェーデン家具大手の日本法人イケア・ジャパン(千葉)から取得した旧国有地(約1万8800平方㍍)で、近くに地場流通大手のイズミ本社ビルがある。大和ハウス工業が用地西側(1万676平方㍍)に建てるビルは延べ3万2508平方㍍で、1階を商業施設、2~10階はオフィスフロアとする。360台分の自走式立体駐車場も設ける。現在、テナントを募っており、既にクリニックや物販、飲食店などの入居が決まっているという。
残りの用地には住友不動産が分譲マンションやホテル、温浴施設が入るビルを建てる計画だ。
県はJR広島病院、県立広島病院、中電病院、広島がん高精度放射線治療センターの計4医療機関を再編して東区二葉の里地区に1000病床規模の大型病院を建設する。全国トップレベルの高度医療と人材育成の拠点を目指し、2030年度に開院する計画だ。
基本計画ではJR広島病院がある東区二葉の里3丁目に地上16階・地下1階建てを2026年度に着工する。整備費は1300~1400億円。昨春、公募型プロポーザルで日建設計大阪オフィス(大阪)と村田相互設計(中区)の共同事業体を設計事業者に選定した。
4月設立の地方独立行政法人が運営。全41の外来診療科を設け、中国地方初の救命救急室併設の小児救命救急センターもある。1日の来院者数は1800人、職員は2300〜2400人程度を予定する。
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