中吉エンジニアリング株式会社
~テレワークと出社のハイブリッドな働き方で 社員が自慢できる会社に~
◆◇◆ 企業を変えるテレワーク ー 県内企業の挑戦 ー ◆◇◆
ICTを活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現する「テレワーク」。広島県は、感染対策だけではなく、個人のライフスタイルに応じた柔軟で自律した働き方を普及するために、県内企業向けにテレワークに関する導入支援策を展開しています。この連載は、テレワーク導入事例5社と各社の導入を支援した専門家に取材し、導入の利点やポイントなどを紹介します。中吉エンジニアリング 中吉 一平 代表取締役社長に取組の背景やポイントを伺いました。
テレワークに取り組んだ背景は。
コロナ禍以前からウェブでの勤怠管理を導入するなど、業務のデジタル化を進めていた。2020年2月に社長に就き、その4月に緊急事態宣言が発令され、国から出社人数抑制の要請があったことからテレワークの実施に踏み切った。また当社のような中小企業が新たな働き方にどこまで対応できるのか、試したい気持ちもあった。
どんな取組をしていますか。
当社では、コロナ禍でも社員の事情を考慮してテレワークの実施を強制しなかった。社員によっては自宅の通信環境が不十分であることや、仕事に集中できないこともあると考えたからだ。社員の状況を整理し、テレワークがやれそうな営業部の設備グループ7人が最初に取り組んだ。テレワーク実施日は事務作業を中心に行い、会社や取引先との打ち合わせはオンライン会議を活用。できる人ややりたい人から始めることで、自然とその有効性が社内に認知されていった。
次に、情報セキュリティー対策にも注力した。取引先に関する情報の漏えいは会社の事業継続と信用に関わる重大なリスクであるため、インターネット接続には会社指定のセキュリティーレベルの高いWi-Fi機器を支給。外部の専門家を講師としたセキュリティー講座を開き、社員の情報危機管理意識の向上を図るなど、ハードとソフトの両面から取り組んだ。
コロナ禍を機に変化したのは、全社員で行うオンライン朝礼だ。テレワークをする社員が参加できるように開始したものだが、完全にオンラインに切り替えたことで、全部署の社員が一堂に参加することが可能となった。ITに苦手意識のある社員がツールに慣れる機会になっただけでなく、部署の垣根を超えた社員同士のコミュニケーションの場になり、会社としての一体感が高まった。
取組に当たってのポイントは何ですか。
当社でテレワークがスムーズに導入できたのは、前社長の時代から築かれてきた会社と社員、そして社員同士の信頼関係が背景にある。まずは経営者が社員を信じて仕事を任せる姿勢を示すこと。これを続けてきた結果、会社全体の縦と横の信頼関係が構築された。いざテレワークを導入した際も「見えないところでもきちんと仕事をしてくれている」という会社から社員への信頼があるため、テレワークをする社員に対しての疑念や不満を抱く声も聞こえてこなかった。加えて、当社には新しい仕組みやツールを積極的に採り入れることを良しとする社風がある。以前からIT化を進めていたところであるが、経営者の代替わりとコロナ禍が後押しとなり、改革がスピード感をもって進められた。
導入後の変化・メリットを教えてください。
「通勤時間の削減で家族との時間が多く取れるようになった」「これまで休暇を取得していた子どもの急な送り迎えや親の介護などに対応できるようになった」など、感染症予防以外のニーズがあることが分かった。社員のワーク・ライフ・バランスの向上だけでなく、残業の削減や柔軟な働き方が選択できる職場として求人活動での企業アピールにもこれから活用できそうで、メリットは大きいと感じている。
同時に、テレワークの実施を通して出社する意義を考え直す機会にもなった。今後も、テレワークと出社のそれぞれの利点を活かしたハイブリッドな働き方ができる職場づくりを推進し、社員が今以上に安心感と会社に対する愛着と誇りを持ってくれることを目指したい。
社員の声
テレワークでもICT環境が十分整っているので不自由なく仕事ができています。結婚したばかりの妻と昼食を一緒にとることができ、通勤時間が削減されたことで、趣味に充てられる時間も増えたことが嬉しいです。友人から「良い会社だね」とうらやましがられることも多いです。
取材日:2022年10月
会社概要
中吉エンジニアリング
所在地:広島市西区西観音町9番4号
URL:http://www.nakayoshi-e.co.jp/
業務内容:設備設置業、工場向け機器販売、自動車電装部品卸など
従業員数:37人(男性21人、女性16人)
情報提供:広島県
(働き方改革・女性活躍 取組サポートサイト「ヒントひろしま」http://hint-hiroshima.com)