中国地方で地場トップへ
高収益警備へのシフト奏功

株式会社テイケイ西日本

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待遇や労働環境を改善し人材確保


 高速道路や夜間交通規制、鉄道関係などの収益性の高い警備を強化する成長戦略が実り、地場警備業で中国地方トップが現実味を帯びてきた。業績向上~労働環境と待遇の改善~人材確保・育成が好循環。中国地方を網羅する営業網を広げるとともに、警備員1000人体制に引き上げ、拡大路線にまい進する。

高速道路がけん引

 2024年5月期は売上高が前期比5%増で過去最高の35億円、経常利益は同15%増の1億3000万円と9期連続増収・3期連続増益達成を果たした。コロナ禍を機に本格化した高速道路の警備売り上げが初めて10億円を突破。創業来から主力として実績を重ねてきた一般交通誘導を、高速、夜間、鉄道などの高収益警備が上回り、売り上げ全体の70%までに伸長している。
 21~23年には岡山・米子・山口に営業所を開設。支社合わせ中国5県に計22事業所を数え、続いて拠点網を広げて地場採用を加速し、営業力を強化する構えだ。

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やりがいのある職場へ

 高収益警備は難易度も高い。こうした業務をこなせる人材を獲得するため、新たな評価制度の導入や給与などの見直し(固定給化、年2回賞与、休業補償、能力給導入など)、労災上乗せ保険内容の拡充、定年まで働ける環境を順次、整えてきた。
 交通誘導などの警備員は日払いや週払いなどが多く、比較的年配の単身男性が一般的。離職率も高いと言われる。海田社長はこうした業界特有のイメージを払拭し、やりがいを持って将来設計の描ける職場を目指した。警備業では中国地方で初めて全国社会保険労務士会連合会の「経営労務診断適合企業」に23年春認定。人を大切にする企業として評価され、24年は有給や産休・育休の取得率は男性も含め100%だ。
 同年6月には福利厚生の一環で、婚活支援制度をスタート。「家庭を持ち生活が安定すれば、責任感や仕事に打ち込む意欲も一層高まる。警備員860人の年齢は10~70代と幅広いが、全体の40%以上が30~40代の適齢期。仕事と婚活の両輪で、豊かな将来を切り開いてほしい」と海田社長。3年以内に現在の警備員数860人を1000人体制へ引き上げる計画だ。

女性も積極登用

 猛暑や厳寒も現場に立つ警備員たち。一人一人の声や要望に向き合い、ヘルメットの庇の長さ、女性警備員の制服の見直しなど、勤務上必要と判断されれば可能な限り応える。コロナや生活支援の見舞金支給なども手厚くしてきた。23年度は1228人の応募があり、うち229人を採用。大卒新卒も増えている。警備員の平均年齢は全国平均より10歳若い40.5歳。総合職は昇進も望め、女性管理職の登用も積極化している。
 原田博男会長が1977年に創業。現地調査~計画~行政機関との折衝~人員・保安用資機材の手配を一貫するワンストップ警備体制を強みに、全国大手中心の機械警備とは一線を画す商圏で、人命に関わる警備を使命としてきた。「社員を大切にする社風」と「人と向き合う経営」も引き継ぎながら、M&Aを視野に中国地方トップを射程に捉える。
 海田社長は「学歴は問わず、情熱・スキル・コミュニケーション能力を評価する。今後は警備のAI化を研究し、商品化を推進していく」と、新たな事業領域の構想も描く。100年企業へ。万全な体制で臨む。



会社概要

株式会社テイケイ西日本
本  社:広島市中区東白島町19-77(テイケイBUILD)
設  立:1977年6月
資 本 金:3000万円
売 上 高:35億円(2024年5月期)
従業員数:860人
事業内容:警備業
T E L:082-227-6584
U R L:http://www.tei-kei-wj.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。