《呉》駅前再開発で活性化へ
大和ミュージアム改修も

21年の地域経済① 広島経済レポート

写真提供:広島県

駅周辺再開発

 呉市は2020年4月、既存の駅前広場と旧そごう呉店跡地の再開発の基本計画を策定した。駅前広場は交通ターミナルの上にさまざまなイベントが開けるデッキ広場を整備する。呉駅から市役所、れんが通りなどがある北側市街地エリア、大和ミュージアムなどがある宝町エリアとの回遊性向上に向けて改修して駅の東西南北を連絡し、1階部分にはバス、タクシーの発着場や市民が利用しやすい一般車の送迎スペースを備えた交通ターミナルを設け、周辺道路の混雑解消を図る。呉駅の橋上駅化の着手や自動運転車など次世代交通システムの導入も計画に盛り込む。新たに創出するデッキ広場などは、災害時には防災拠点として活用する予定。
 旧そごう呉店跡地は、バスターミナルやデッキ広場と一体になる複合施設を整備する。商業施設やマンションを想定し、宿泊機能の導入も目指す。呉駅を核としたまちづくりを推進する産学官連携の組織「アーバンデザインセンター」の設置も盛り込む。市の計画では20年度中に開発を担う優先交渉権者を選び、24年度内の完成を目指していたが、新型コロナウイルスの影響で民間事業者の公募を1年程度遅らせると20年8月に発表した。完成予定もずれ込む見通しだ。

大和ミュージアム改修へ

 市内最大の集客施設・大和ミュージアムは05年に開館し、19年10月には累計来館者が当初想定を大幅に上回る1400万人を超えた。一方、施設・設備の経年劣化が進んでおり、市は25年度のリニューアルオープンを目指す。
 20年6月には内部検討委員会や大学教授ら、来館者調査などを参考に「観光機能重視型」、「博物館機能重視型」、「館内リニューアル型」の3案をまとめた。観光機能重視型は、売店や飲食施設などが入る増築棟を建設予定。博物館機能重視型は、来館者に公開する形の公開型収蔵庫棟を建てる計画だ。両案は共に、館内の混雑解消に向けて本館エントランス前に大屋根を設けて屋外券売機を置くほか、呉駅近くにあった観光案内所を移設する計画。館内リニューアル型は、館内展示の改修や駐車場の拡張などを盛り込む。