直観と決断力で事業拡大
不動産管理から水族館への挑戦

みどりホールディングス

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みどりホールディングス
代表取締役 杉川 聡

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プロフィール

 修道高卒。慶応大商学部を卒業し、1981年に第一ビルサービス入社。85年に代表取締役就任。1957年10月8日生まれ、広島市出身。

 広島の学生が県内企業の経営者に「働く」をテーマにインタビューした。今回はみどりホールディングスの杉川聡社長。不動産管理を主軸に、2012年から新事業として商業施設「マリーナホップ」の再建に挑んでおり、昨年は施設内にマリホ水族館を開いた。新事業への意気込みを聞く。
―事業内容を教えてください。
 みどりグループは、不動産管理の第一ビルサービスを中核に仲介や工事など全12社で構成しています。「安定」と「成長」をテーマに介護や保育などに事業を拡大。設立55年を迎え、グループ売上高は100億円を超え、社員は1500人以上になりました。マリーナホップには昨年、水族館をオープンし、延べ35万人がご来場くださいました。 写真2
―どうして水族館なのですか。
 施設のイメージを変えたかった。運営を引き継いだ12年当時はシャッターが閉まった店舗が多く、週末でも閑散としていました。核となるテナントを誘致し、イベントを充実させるなどで、来場者数は徐々に回復してきたものの、まだ「つぶれかかっている」、「場所が悪い」などのネガティブなイメージがありました。  何か案はないかと社内でも募りましたが、カフェやフリーマーケットといったもので、驚きがなく、ドキドキしない。そこで私は、海に近い立地を生かして親水性、海に関連したものを造ろうと、水族館を提案。水族館というと公営が一般的で、民間企業が実際に手掛けるなんて、最初は誰も本気にしていませんでした。特に水族館にこだわりはありませんでしたが、それよりも良いアイデアがなく、日本青年会議所時代の先輩で水族館プロデューサーの中村元さんが偶然知り合いだったことから、建設にいくらかかるか見積もりを出そうと軽い気持ちで連絡を取りました。自分たちには魚や水槽の値段など水族館について全く知識がない。ゼロから造ることは相当大きなハードルでした。でも、中村さんが造れるかもしれないと言ったことが決定打になりましたね。  その後、昨年6月にマリホ水族館をオープンし、施設全体の集客率が上がったと思います。運営を引き継いだ12年はテナント売り上げが30億円、来場者数も年間180万人でしたが、17年には同80億円、270万人までに回復。水族館効果で今後も増えると予想しています。
―失敗したことはありますか。
 ありますよ。1995年から2000年までに4つの不動産系のフランチャイズチェーン(FC)加盟に挑戦しましたが、全て失敗しています。  85年に27歳で社長に就いた当時はバブル景気で、ビルがどんどん建ち、それに伴って管理業務も増え、業績は順調そのもの。その後、バブルがはじけたときも、ビル自体がなくなるわけではないので管理業務は減らず、会社としてはそんなに影響は受けずに済みました。  でも、何か面白くない。安定はしているけれど、つまらないと思い、5年間ぐらい模索。順調に成長してきたため、厳しさが分からない状態でのチャレンジだったことが、うまくいかなかった要因かもしれません。  しかし、振り返ると挑戦したことは良かったと思います。失敗は残念だけれど、もし5年間何もしていなかったら、会社にとっても自分にとっても今のようなチャレンジ精神が身に付かなかったかもしれないし、会社の売り上げは95年のままで止まっていたかもしれません。
―新規事業への取り組み方は。
 挑戦する上でのリスクは当然あります。まずは、それを箇条書きにし、順番につぶしていくようにしています。リスク分析には失敗経験から学ぶことが大事。考えずに同じことをやると、必ず失敗します。成功に理由はなくても、失敗には必ず原因がある。  失敗したときは、なぜそうなったのかを反省し、分析して、再発を防ぐ作業をする。後悔し続けても仕方がないのです。そこは切り替えています。自分の気の持ちようが大事だと思います。私自身、55歳でマリーナホップの運営を始めましたからね。自分の性格は楽天的。とりあえずやってみようという気持ちで始めています。結果的にそれが良かったのでしょうね。
―社長の大事にしていることは。
 決断力です。今までの経験から得てきた直感のようなものを大事にしています。経営者にはこの力が必要です。  考えながら走る、動きながら考える、というのが自分の理想です。考えて何もしないのは良くない。自分の目で見て体験することによって、自分なりに解決策を見つけ、原因を究明していく。そうしないと成長していきません。そういった意味で実証主義タイプなのだと思います。止まって考えると先へ進めないですからね。
―若者にメッセージをお願いします。
 何事も継続することが大事ですね。20代のうちに頑張ることで、30代からの飛躍につながります。嫌なことがあっても投げ出さずに、同じ仕事を続けてたくさん経験を積んでほしい。社会に出たら、さまざまなことに積極的に挑戦してみてくださいね。 写真3

学生の声

・特に挑戦、責任、人脈や縁の大切さを感じました。これからの出会いを大切にし、できるだけ多くの経験を積み、楽しい人生を過ごしたいです。(大森)
・「走りながら考える」という言葉が印象に残っています。杉川社長の、前向きな姿勢とリスクを恐れない生き方に心を動かされました。今回の取材で得たことを、将来にも生かしたいと思います。(好本)
・社長の「まずはチャレンジしてみればいい」というお話がとても印象に残りました。私も4月から社会人になります。何事にも失敗を恐れずに、まずはチャレンジしていきたいと思いました。(大藤)

会社概要

 1963年に創業。ビルメンテナンスの第一ビルサービスを中核に12社で構成。本業を柱に病院内給食や介護施設運営など多角化。2012年から運営する商業施設「マリーナホップ広島」に都市型「マリホ水族館」を開いた。 (2018年3月時点)