Vol.9 解体重機オペレーター ~“工事の始まり”を担う建物解体のスペシャリスト~[佐々部工業株式会社]
【広島商工会議所】地場建設産業の担い手に聴く!
地域インフラ整備 ・ 維持の担い手であり、地域社会の安全 ・ 安心の確保を支える国土・地域の守り手でもある建設業は、我が国の基幹産業として重要な役割を果たしています。建設現場の最前線で活躍されている様々な職種の建設職人や技術者にスポットを当て、地場建設産業の魅力の一端をご紹介します。(広島商工会議所建設業部会)
解体重機オペレーター
佐々部工業株式会社 工事部 課長
山本 浩さん
ー解体工事とはどういったことをするお仕事ですか。
主にコンクリート造・鉄骨造のビルや木造住宅などの建物を解体し、廃材を片付け、更地にする仕事です。
重機の先端に建物の構造に合ったアタッチメントを取り付け、砕いたり、切断しながら解体していきます。重機、アタッチメントには大型・小型から用途別に様々な種類があります。
鉄筋コンクリート造のビルの場合では、高い建物でも地上から届き、安全に作業できるロングブームの重機に、圧砕機というアタッチメントを取り付けて、梁・柱など、部材ごとにコンクリートを砕き、鉄筋を切断しながら抜き取り、解体していきます。抜き取った部材を、別の重機に取り付けた小割機というアタッチメントで細かく砕いて、鉄筋とコンクリートに分別し、それぞれリサイクル施設へ搬入しています。
簡単に言えば、「壊して捨てる」という仕事です。会社設立から44年の当社は、県内の解体専門工事業者の中では老舗の1社です。重機を使わない工事から小型重機を使用する木造家屋、大型重機を使用する高層ビル・工場など、解体が必要な仕事は幅広く受注しています。
当社は、建替工事の1番バッターとして現場に乗り込む場合も少なくなく、近隣の方々からのお声により種々の問題が生じ、その後の新築工事に影響を与えてしまうことがあってはいけませんので、ベストな状態で次の工事にバトンタッチすることができるよう、周辺環境への「目配り・気配り」を常に心掛けて、施工しています。
解体工事中は、近隣の方々にあまり良いイメージを持たれないことが多いです。こうしたことから、解体建物の外周部に飛散物や防音養生で設置する防音シートの生地の色は、通常グレーが使われることが多いのですが、当社では会社ロゴをプリントした鮮やかなライトブルーの防音シートを採用し、少しでもクリーンで、明るいイメージを皆様に持っていただけるよう取り組んでいます。
ー簡単に自己紹介をお願いします。
職長・重機オペレーターをしています。地域再開発など、県内外で様々な工事に携わってきました。経験年数は39年です。
ー解体重機オペレーターを目指したきっかけを教えてください。
若いころ先輩・仲間から誘われたのがきっかけで、重機でのダイナミックな作業に興味を持ちました。
ー仕事上の苦労などがあれば教えてください。 肉体的な苦労もたくさんありますが、解体する建物と隣の建物との隙間が数センチなどと作業条件が良くない場合や、同業者による倒壊事故のニュースを見た時などは、怖くなり、プレッシャーから夜も眠れなくなることが今でもあります。常に危険と隣り合わせです。無事故で完工するため、気を緩めることなく工事を進めることを常に意識しています。
ーどのような時にやりがいを感じますか?
いろいろな時に感じます。ビルの解体工事現場で建物上屋の解体が完了し廃材を搬出したとき、あるいは地中の基礎を解体し更地にした時…。各現場で必ず“ここ一番”という瞬間があります。作業を終え、工程が流れに乗り、各作業員のモチベーションが向上し、一体感が生まれた時は、やりがいを強く感じます。
また、自分1人・重機1台では仕事はできません。すべての業種に共通することだと思いますが、仕事で仲間との一体感を感じることができたときは、何とも言えない達成感・満足感を感じますね。
ー仕事に興味を持った方へのメッセージなどがあればお願いします。 「壊して捨てる」と言っても施工条件は各現場により様々で、施工方法も多種多様です。仕事は計画から施工までオリジナル性に富んでおり、様々な重機を扱い、いろんなアイデアが採用され、自由度の高い職種です。部下からの思わぬ提案に気付きをもらい、その提案を採用することもあります。今後、重機・アタッチメントの開発などが進めば、施工方法なども大きく変わっていく可能性もあります。興味を持たれた方は、是非チャレンジしていただきたいですね。
会社概要
佐々部工業株式会社
所 在 地:広島市南区東雲2丁目2-6
事業内容:解体工事業
創 業:1976年10月
(2020年12月現在)
情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課