陸の玄関口一新 広島駅周辺その①
広島経済レポート【2023年新春号】|広島駅周辺再開発
広島の陸の「玄関口」が様変わりする。集約型都市構造への転換を掲げる広島市、西日本旅客鉄道(大阪)、広島電鉄(中区)は、駅南口広場の再整備や駅ビルの建て替えなどを進める。駅の周辺では、大手ホテルの出店計画や大規模な不動産開発の動きもあり、再開発が佳境を迎えている。
ガラリと変わる広島の玄関口 25年春開業、駅ビル2階に広電直結
広島駅ビルの建て替えと広島電鉄の路面電車が乗り入れる2階広場の整備事業は、2025年春の完成を目指している。
駅ビルは地上20階・地下1階建て延べ約11万1000平方㍍で、ショッピングセンターや複合映画館、高層階にJR西日本ホテルズの新ブランド「ホテルヴィスキオ」(400室規模)が入る。路面電車乗降場は駅中央口や新幹線口改札と段差なくつなげ、乗り換えしやすくする。広電乗り入れに伴って生まれた空間やビル1階を活用し、バス乗降場を増設。ビル直結駐車場(約500台)と北西側に別棟駐車場(約400台)も備える。
屋上に「憩いの場」 回遊性高める歩行者専用橋も
7~9階には雁木状の大型階段を備えた屋上広場を設置。中心部の街並みを望む憩いの場や、屋外イベントなどの利用を想定。路面電車乗降場の南側にペデストリアンデッキ(歩行者専用橋、26年度末完成)を整備し、「エールエール A館」、「ビッグフロントひろしま」、「エキシティ・ヒロシマ」、「広島JPビルディング」など周辺施設との回遊性を高める。2階広場と屋上広場はサポーズデザインオフィス(中区)がデザイン監修。
広島東郵便局跡地に 県内最大級のオフィスビル
日本郵便(東京)と日本郵政不動産(同)は昨年8月、駅南口の旧広島東郵便局跡(南区松原町)に県内最大規模のオフィスビル「広島JPビルディング」を竣工した。
地上19階建て延べ4万4200平方㍍。6~19階のオフィスフロアはワンフロア1530平方㍍と広く、柱のない構造で自由にレイアウトできる。6階には入居者専用の約200席の食堂・カフェを設置。1、2階の店舗エリア(8区画)には郵便局、コンビニのローソン、広島大学の「きてみんさいラボ」、居酒屋のカープ鳥などが入る。
【店舗エリア含む入居事業者(地元企業を抜粋、22年12月時点、五十音順)】
アスリートマガジン(出版) / カープ鳥(居酒屋) / シーエム·エンジニアリング(建設コンサル) / 広島大学きてみんさいラボ(コワーキングスペース) / Rodina(復職支援のリワークセンター)
アパホテル3棟計画 計5棟2千室体制へ
ホテルチェーンのアパグループ(東京)は駅周辺に3棟計1136室のホテル出店を計画している。既存2施設含め1954室体制となる。
駅南側の旧フタバ図書ギガ広島駅前店跡地に、30階建て600室の「アパホテル&リゾート広島駅前タワー」を建てる。シングルルーム中心で、展望プールや大浴場など日帰り利用できる施設も用意。26年春に開業予定。ほか、南区上大須賀町に「アパホテル広島駅新幹線口」(294室、24年夏開業)、荒神町に「同広島駅スタジアム口」(242室、同年秋)をそれぞれ計画。同社は駅南口近くに08年開業の91室、16年開業の727室のホテルを運営している。
その他の開発
● 中国SC開発(南区)は昨年9月、コミュニティー広場「ekie エキキタパーク」を開いた。イベントに使える芝生広場や、サンフレッチェ運営のフットサルコートなどを備える。 ● 広島高速道路公社(東区)の広島高速5号線整備事業は24年度の完成を目指している。同1号線を介して広島東ICに直結し、駅~広島空港の所要時間が5~7分縮む。 ● 住友不動産(東京)は、スウェーデン家具大手イケアグループから取得した二葉の里地区の用地に、ホテルやマンションなどが入る複合ビルを計画。約1.88㌶の一画に34階建てで、24年着工、27年に完成予定。同所に大和ハウス工業(大阪)も10階建てのオフィスビルを構想。
広島経済レポート:2023年新春号