農業・水産
農業:
レモン、ワケギ、クワイ、全国シェア5割超
村上農園、山梨・宮城・北海道に生産拠点計画
広島県の農産物生産量はレモンが3570㌧で全国シェア50・4%、特産のクワイが54%、ワケギが53・1%とトップが続いている(2018年)。21年5月末現在で集落法人(特定農業法人)が271あり、全国有数。
法人では、村上農園が21年4月に山梨県北杜市のブロッコリースーパースプラウトの植物工場を稼働。湯来生産センターを建て替え1月に再稼働。22年に宮城県大郷町、23年に北海道伊達市に新工場を計画し、25年に年商300億円を目指す。サタケと地元農家でつくる賀茂プロジェクトは、東広島市豊栄町で高齢農家が手放した水田の管理請負を開始。モスファームすずなり(静岡県)は安芸高田市高宮町羽佐竹に農場を開設し、ハンバーガー用レタスを栽培する。小松菜栽培の中池農園(東区)は安佐北区白木町にイチゴ狩り観光農園を新設した。
JA広島市は22年3月末までに、54支店を32支店に統廃合することを計画。県内のJA合併への当初参加も見送ることを決めた。JA福山市、JA尾道市を含め事業総収益上位3組織が合併協議から離脱。残る10JAで協議を続けることになった。
水産:
カキの生産量は日本一 コロナで飲食向け水産需要が減
広島県はカキの生産量で日本一を誇る。2018年の生産量は1万8800㌧、全国シェア62%で、続く岡山県の3400㌧を大きくリードする。県は21年に策定した実行計画(21〜25年度)で、カキを重要品目として海外市場に売り込む方針を盛り込んだ。19年度に7億円だった輸出額を、25年度に12億6000万円まで引き上げる目標だ。カキ取扱量で国内トップのクニヒロ(尾道市)は本社隣接地に新水産工場を、オーシャンポイント(福山市)は江田島市の旧小学校跡にカキ加工工場を建設するなど、大型の投資計画も進む。カキ生産のファームスズキ(大崎上島町)はカキフライの自動販売機を広島市内に設置した。
新型コロナ感染拡大で魚介類は飲食店向けの需要が大幅に減少。生産者や卸会社などは、ネット販売による自宅需要の開拓などで消費拡大を目指している。
広島市中央卸売市場の水産物荷受けの広島魚市場(西区)は20年の卸売市場法改正を機にオンラインショップを開設した。卸売業者が一般消費者に直接販売できるようになったほか、仲卸業者も産地との直接取引が解禁され、従来の流通が大きく変化している。