「人と共に創る」独自性追求
新年は本格成長への基盤強化

インタビュー2021 マツダ 丸本 明 社長

 マツダは2026年3月期に売上高4兆5000億円、世界販売180万台、出荷台数の損益分岐点100万台へ引き下げ-などの中期経営計画を掲げる。新年は目標達成に向けた準備期間とし、トヨタと共同出資の米国新工場を稼働するほか、CASE(コネクテッド、自動運転、シェア、電動化)対応などを強化する。丸本明社長が抱負を語った。

 昨年1月30日に創立100周年を迎えました。全従業員が自社の歴史を振り返り、お客さまをはじめ、お取引先さま、販売会社さま、地域の皆さまに支えられて今日があることを再認識する機会となりました。改めて、これまで支えてくださった皆さまに心より感謝申し上げます。次の100年においても「人と共に創る」独自性を大切に、商品・技術・顧客体験の創造に挑戦し続けたい。
 昨春以降、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大。ビジネス環境や生活様式が大きく変化する中、この難局を乗り越えるべく、お取引先さま、販売会社さまと共に努力を積み重ねてまいりました。一時期は生産調整を行いましたが、おかげさまで販売が回復しつつあり、夏ごろには通常の生産体制に復帰。業績は当初の想定を上回る進しんちょく捗となっています。依然、先行き不透明な状況ですが、引き続き地域の皆さまと共に感染拡大防止に取り組みながら業績回復に努めてまいります。
 こうした環境をあえて機会と捉えて過去を振り返り、現状を分析し、将来を見渡すことで、多くの反省と学びを得ることができました。コロナ禍による影響も含め、経営の前提となるビジネス環境が大きく変化していることから、中期経営計画の見直しを行いました。企業存続には「人と共に創る」マツダの独自性が必要であるとの中期経営方針の戦略は維持した上で、環境変化への対応を織り込んで施策を修正。ビジネス成長への投資については効率化と平準化により継続しながら、厳しい環境下でも利益を出せるように、より危機耐性を高めたビジネス構造へ変革させたい。強化すべき領域として、IT、工場・オフィスの脱炭素化への取り組みをはじめ、働く環境整備や多様な働き方を支援するための投資を進めるとともに、CASEに関しては独自での対応と協業のバランスをとりながら強化していきます。また、クルマを通じた地域貢献にも積極的に取り組む方針です。今年は中期経営計画の足場固めの年として、その先の本格成長のためにすべての領域で基盤をしっかりとつくり上げていきます。
 この思いを込めて、2021年は「本格成長に向けた基盤強化の年」といたします。新年も地域経済の発展に貢献できるよう「人と共に創る」独自性を大切に、地域の皆さまと共に歩んでいきたい。