《広島》変貌を遂げる広島市街地 再開発・大型プロジェクト その②
22年の地域経済② 広島経済レポート
中区紙屋町・八丁堀地区の一帯で大型再開発の動きが活発だ。市営基町駐車場や本通商店街、サッカースタジアムを含む中央公園広場などで計画が相次ぐ。2018年に同地区は民間の再開発を促す国の「都市再生緊急整備地域」に指定された。20年9月にはその一部区域がより手厚い税制優遇などを受けられる「特定地域」に格上げされ、一層機運が高まっている。にぎわい創出や都市機能の拡充に向け、一帯はこれから大きく様変わりする。
【 ② 本通3丁目 】
本通商店街の一画でも大規模な開発計画がある。路面電車が通る鯉城通りの東側一帯の商店街を挟む約1.5㌶で、南北に2棟のビルを建て、ホテル、商業施設、マンションなどを入居させる予定。
20年3月からまちづくりに関する研究・検討を「本通3丁目地区まちづくり研究会」で開始した。21年3月には、その地権者らが「本通3丁目地区市街地再開発準備組合」を設立。理事長に原田亮二マルエス原田社長、副理事長に長崎清信長崎屋会長と五十嵐正俊ビブレーン社長が就き、事業協力者に野村不動産、コーディネーターにユーデーコンサルタンツを選定した。
準備組合の原田理事長は、「月1回のペースで勉強会を開いている。地権者の中には高齢で後継者がいない人もおり、トイレ不足や来訪が購買につながりにくいなど個店での対応の難しさを指摘する声もある。地域の活性化にはブランド力のあるホテルや商業施設、行政の施設が必要との意見も多く、本組合の設立に向けて意見を集約していく」と話す。
商業施設「サンモール」を中心とした「紙屋町2丁目2番地区」一帯の計画は、準備組合(桝本三知代理事長=サンモール社長)を設立し、16年に大和ハウス工業、三菱地所レジデンス、フジタの3社グループと事業協力に関する協定を結んだ。当初計画では20年度の着工、24年度の完成だったが、後ろ倒しになっている。同地区内には20棟以上の建物があり、準備組合は継続して地権者との合意形成を進めている。
【 ④ フタバ図書ギガ本通店跡 】本通商店街の西端に近い中区大手町1丁目のフタバ図書ギガ本通店跡地には、商業ビル「本通 WEST PLAZA(仮称)」が計画されている。4階建て延べ1340平方㍍で、1~3階はファッションや雑貨などの店舗、4階はオフィスの入居を見込む。22年4月に完成予定。設計は若本建築事務所。テナント誘致・管理はゼネラル興産が担当する。
【 ⑤ 旧市民球場跡地 】
市は20年3月、旧市民球場跡地や広島城などを含む中央公園一帯の在り方について、イベント・集客、スポーツ・レクリエーション、歴史、文化芸術、こどもの五つのゾーンに区分けした基本方針を決めた。
イベント・集客ゾーンに当たる旧球場跡地は21年8月、イベント広場の整備・運営事業者にNTT都市開発など9社の企業グループを選定。区域は約4・6㌶。広場内に二重の円のような区切り(ユニバーサルリボン)を設け、イベントの規模に応じて柔軟に公園を使い分けられるようにする。年90日以上のイベント開催を想定。広場の一部を覆う折り鶴をイメージした屋根や、木造の飲食・物販施設8棟を建設する。南側の原爆ドームから北側の新サッカースタジアムに向かう南北軸に桜並木通りを設け、周辺地域と回遊性を高める。23年3月にオープン予定。22年2月末から同イベント広場の命名権の公募を始める計画。
市と広島商議所が財産交換を終え、市の所有となった商議所ビルは、27年度に完成する基町駐車場跡の複合ビルに機能を移した後に取り壊す。
広島経済レポート2022年新春号掲載記事