訪日外国人に地域産品をPR
広島空港でテストマーケティング

ひろしま産業振興機構

ひろしま産業振興機構国際ビジネス支援センターは県内企業の国際ビジネス展開を支援し、地域産業のグローバル化を推進する取り組みを強化している。その一環として、米ニューヨークの海外ビジネスサポーターを招いたセミナーや、広島空港でのインバウンド客を対象としてテストマーケティングイベント「Seaside POPUP Store/BINGO STREET」を実施した。

海外ビジネスサポーターの蝉本氏が講演

アメリカ市場の可能性 セミナーではアメリカ市場へのアプローチについて、同機構海外ビジネスサポーター(ジェトロに20年勤めた後ニューヨークで起業)の蝉本睦氏が講演。 「アメリカはアジア系人口の増加で日本製品への親和性が高まっており、輸出のチャンスが拡大している」と強調した。また、円安を背景に日本企業の競争力が向上していることに触れ、「日本の商品は価格面でも魅力を増している」と指摘した。

訪日客活用し需要探る 3月12~14日には広島空港で香港等インバウンド向けにテストマーケティングを実施(中小企業基盤整備機構と広島銀行等共催)。参加企業は▽弁当販売などの(有)たかの(福山市沼隈町)、▽飲料製販のアシードビバレッジプラス(福山市箕島町)、▽海産加工を中心とした珍味を手掛ける阿藻珍味(福山市鞆町)、▽保命酒販売の(有)入江豊三郎本店(同)、▽あんず生産販売の田尻杏屋(福山市田尻町)の5社。

(有)たかのは国外での需要を探るため「ビンゴソース」を販売。高野憲治専務は「アジア圏では、はっきりとした味が好まれる傾向があり、需要が見込めるのではないか」と期待を寄せる。また、「国境を越えるにはご縁が不可欠。物産展などを通じて、海外進出の機会を模索していきたい」と語った。

アシードビバレッジプラスは福山市の特産のバラを生かした「ローズスパークリングウォーター」を出展。世界バラ会議福山大会を記念して開発し、海外客にアピールしたいという。来場者の反応は、「意外と香りが強すぎず飲みやすい」「瓶のデザインがかわいく、特別な日に楽しみたい」と好評だった

阿藻珍味は小いかを使った「ちーいか天ぷら」を紹介した。小イカを醤油で甘辛く煮た後、天ぷらにするという二段階の工程を経た商品で現在、自社の飲食店で提供しており、昨年6月に香港貿易発展局の関係者が来福した際に「香港市場で売れる」と評価されたことが、今回の出展のきっかけとなった。今夏に香港の展示会への出展を予定しており、現地バイヤーとの商談を通じて市場開拓を進める。

(有)入江豊三郎本店は、江戸時代から続く伝統的な「十六味保命酒」を紹介。16種類の薬草を使用した歴史ある酒で、中国語で「保命(バオミン)」と発音されることから、来場者に興味を持たれた。国内での認知度も向上しており、訪日外国人にも飲んでもらいたいという。

(有)田尻杏屋は、アプリコットジャムやあんずを使ったスイーツを販売した。小林章宏代表は「海外の同様の商品は甘みが強いものが多いが、当店のものはすっきりとした味わいで、良い反応をいただいた。機内持ち込みに対応できるよう、サイズの工夫が必要だと感じた。今後は海外輸出も視野に入れつつ、福山に足を運んでいただき、実際に味わってもらえる機会もつくりたい」と語った。

広島の魅力ある商品を海外へ 同センターでは、今後も海外展開を目指す県内企業の支援を強化。市場調査や販路拡大の機会を提供するなど海外進出の支援環境を整えていく。広島発の魅力ある商品が世界へと広がることが期待される。

■ 公益財団法人 ひろしま産業振興機構 国際ビジネス支援センター 会員数:269
県内企業の国際ビジネスを総合的に支援することで、県内産業のグローバル化を促進し、県内産業の発展を図っている。
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「広島経済レポート」2025年2月20日号掲載記事より