運営500園突破へ
選ばれる園を全国展開

どんな子どもにとっても心の基地に

　保育サービス事業が拡大成長し、２０２３年12月期連結売り上げで初の２００億円を突破した。待機児童は徐々に解消されているが、01年に本格参入して以来、安定的な運営実績が評価され公設民営化の分野で業績を伸ばした。スケールメリットを生かし〝選ばれる保育園〟を徹底するとともに、新たに始めた児童発達支援事業も支持を広げている。

全国を網羅

　24年6月現在で、北海道～沖縄に約５００園を受託運営。０～５歳の未就学児１万２０００人を預かり、保育士を中心に従業員約５０００人が働く。認可は４月以降の開園予定９園含む１１１（うち広島20）、病院内主力の事業所内は２７８（同55）に上る。自社従業員向けの企業主導型直営保育35園なども運営し、各種園での運営ノウハウを相互に生かす体制も拡充。民間ならではの発想とスピード感、全国展開に照準してきたスケールメリットを存分に発揮している。
　自治体の財政難などを背景に公立保育園の民営化が進む。重道ＣＥＯは、「人格を形成する大事な時期を預かっている。運営する全ての園で、その使命と責任、想いは変わらない。選ばれる保育を目指すとともに、〝保護者の一番の応援団〟として仕事と子育ての両立を全力で支えていく」と事業への思いを一層熱くする。

どんな子どもにも寄り添う

　音楽を取り入れたリトミックなど情操教育や英語教育のほか、コストや手間もかかるが各園の地域性を尊重し、現地調達の食材や天然だしを使った手作りの食事を用意。行事や郷土食などにも配慮。
　子どもの成長に真摯に向き合う中、障害を持った０～６歳の未就学児が一定の割合で児童発達支援施設を必要とする実態が浮上。発達障害児は増加傾向にあるが、全国５００万人の未就学児の6.5％に障害があるうち施設利用者は10％強に過ぎないという（16年厚労省調べ）。そこで21年春からＦＣ加盟で支援施設の全国展開に乗り出した。23年5月には新モデルのパイロット施設を稼働。１００施設を視野に、働きながらでも預けられる体制を独自で確立する。障害を持つ児童と保護者に安心して利用してもらう。

福利厚生を拡充

　保育士の採用・定着に知恵を絞る中、ＩｏＴ化による子どもを見守る負担の軽減やオンラインなどを活用した教育研修のＤＸ化などを推進。従業員は直営保育園のほか、同園や病児保育室運営園の集積地にＦＣ運営する24時間フィットネスジム「エニタイムフィットネス」も無料で利用できる。
　フィットネスジムは15年に都内へ初出店以来、30店（うち都内10）に急拡大。平均会員数も１０００人以上とトップを走り、引き続き出店を加速する構えで、向こう3年で50施設以上に引き上げる計画だ。

行動こそ真実

　現在は手掛けていないスーツケースのレンタル宅配事業で全国大手に成長した矢先、米同時多発テロに見舞われた。雇用を守る一心で起死回生を懸けた保育事業。幼少期、両親が共働きだった重道ＣＥＯは、学校から帰っても家には誰もいない寂しかった記憶がある。「子どもたちが寂しい思いをせずに過ごせる保育園」を〝心の基地〟と表現する。「行動こそ真実」を信条に、心の基地を目指し、経営理念「未来に貢献できる企業でありたい」に挑み続ける。

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