繊細なイラストで世界を魅了
既成概念にとらわれずに生きる

IC4DESIGN 

動画をリクエストする

IC4DESIGN
代表 カミガキ ヒロフミ

写真1

プロフィール

 1966年生まれ、呉市出身。九州産業大芸術学部を卒業し、ビデオゲーム制作会社、広告代理店勤務などを経て1998年に独立。2006年にIC4DESIGNを設立。趣味は、イラストを描きながらの海外ドラマ鑑賞。

 広島の学生が広島を代表する企業の経営者に「働く」をテーマにインタビューした。今回は世界を舞台にイラスト、デザイン制作などを手掛けるIC4DESIGN(アイシーフォーデザイン)のカミガキヒロフミ代表。仕事に対する考え方や姿勢について聞いた。
―主な仕事内容は。
 企業広告などのデザインやイラスト制作を手掛けています。イラストは海外の案件も多く、アメリカの「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」の表紙イラストや、全米180ヵ所以上で行われた鉄道の祭典「ナショナル・トレイン・デイ」のメインイラストなどを描きました。カープ選手をイラストにしたシールなどオリジナル商品も販売し、近年多くの時間を割いているのが絵本制作です。2014年に発行した「迷路探偵ピエール」は、現在世界30ヵ国で販売されています。 写真2
―仕事とは何ですか。
 簡単には表現できないです。生活のためにお金を稼ぐツールであり、趣味や生きがいでもある。さらに自分を認めてもらうための自己表現の1つの手段でもある。  仕事には利益を得るために日々こなさなければならないものと、自分がやりたいことを実現するためのものの2種類があります。当社であれば、グッズや絵本制作が後者に当たります。この2つの仕事を同時に進めなければ、日々の業務に追われ、いつまでも自分のしたい仕事ができなくなります。  デザインを仕事にしたのは、1週間のうち、嫌なことを平日の5日間続けて、休日2日間を楽しむよりも、好きな絵を描くことに7日間全てを使う方が良いと考えたからです。デザインやイラストなら、好きなことをしながら収入を得られます。
―大切にしている指針は。
 既成概念にとらわれないことです。例えば男子学生の皆さんは就職活動のとき、紺色のスーツにネクタイを締めて臨みます。企業に勤める人もスーツを着て会社に行く。大半の人がそれを当然のことだと思っています。しかし、これは常識に縛られ、思考を止めてしまっている。これをデザインの仕事に置き換えると、例えば商品券の制作依頼を受けたとき、「商品券とはこういうものだ」という既成概念から外れて、いかに面白く、かわいいものに仕上げるかが腕の見せどころです。  当社は自分の夢を実現するために、個人よりもチームの方が動きやすいから、会社の形態にしているだけで、私は経営者だという意識は薄い。だから、「社長だからこう振る舞わなければならない」と縛られることはありません。  私たちの仕事は、クライアントの思いを彼らのお客さんに伝えることです。そのため、クライアントとの意思疎通ができていなければ、その思いを正確にお客さんたちに伝えることはできません。従ってクライアントとのコミュニケーションがとても大切です。当初は考え方が異なっていたとしても、最終的には「あなたに頼んで良かった」とクライアントに言ってもらえれば大成功です。
―感性を磨いていますか。
 特に意識はしていませんが、夢中になって仕事に取り組むようにしています。楽しみながら「描きたいから描く」と思っている方が、良い作品を生み出せるはず。どんな分野であっても夢中になっている人はすごい力を発揮するし、そんな人にはかなわないです。
―社長にとって〝幸せ〟とは。
 人生の目標は人それぞれ。社長になってもうけたい人もいれば、お金よりも家族を大切にしたい人もいる。しかし、そこに共通しているのは「幸せになりたい」ということ。何に幸せを感じるかも人それぞれです。若いうちは、自分にとっての幸せの定義が分からずに、お金もうけに傾く人が多いです。しかし、お金を持っていても、幸福感を得られなければ意味がない。幸せの定義を見つけることが大切です。私はニューヨーク・タイムズの表紙を飾ったときのような大きな仕事を担当することや、力を入れている絵本の販売部数が伸びて、より多くの人に見てもらえることが目標であり、幸せです。
―学生にメッセージを。
 今の若い世代は、周囲を見渡してみんなのために動くことができる人が多く、世の中をより良くできる力を持っていると思う。一方で、周囲に自分を合わせるのではなく、「自分はこう考えたからこうする」という姿勢も持ってほしい。そうすればおのずと道は開けてきます。  また仕事を選ぶとき、活躍の場が海外にあると感じたら、ためらわずに行けばいい。日本にはたまたま生まれて、そこで育っただけなので。 写真4

学生の声

・仕事もプライベートの一部で、毎日好きなことをしているという考え方が新鮮でした。一方で、受けた仕事に責任を持ち、真摯に取り組む姿勢の大切さも感じました。(杉田)
・好きなことを仕事にできる幸せを聞き、夢中になることを仕事にする素晴らしさを改めて感じました。私もそれを見つけて仕事を楽しむ日々を過ごしていきたいと思いました。(金村)
・事務所の明るい雰囲気と、社員さんの楽しそうな表情に衝撃を受けました。常識を疑ってみる考え方が印象的です。好きなことを仕事にし、夢中で取り組むことが大切だと思いました。(大畠)
・魅力的で印象に残るお話を伺うことができました。この経験を今後に生かしていこうと思います。(松田)

会社概要

 1998年創業。広島を拠点に企業広告のデザインとイラスト制作を手掛ける。ニューヨーク・タイムズやグーグルなど、国内外で多数の受注実績がある。広島では2013年春の大型イベント「ひろしま菓子博」のキャラクター「かしなりくん」などを描いた。絵本「迷路探偵ピエール」は第2弾の発売を予定している。(2017年2月時点)