[路面標示施工技能士] 道路区画線工事を手掛ける専門職

地場建設産業の担い手に聴く!4

vol.04  路面標示施工技能士
森永 優希さん
宮川興業株式会社 建設・交通事業部工務課

― 自己紹介をお願いします。

 学校を卒業後、別の会社で塗装業務に携わり、その後当社へ入社し、現在4年目です。父が当社で同じ路面標示施工の仕事をしており、父の影響もあり、この仕事には関心を持っていました。今も父は上司として同じ職場にいますので、分からないことがあれば何でも聞くことができ、とても心強いです。

―路面標示工とはどういったことをするお仕事ですか。

 道路の路面上には中央線や車線境界線、停止線、横断歩道など、いろいろな路面標示が記されています。路面標示工は、路面に引かれたそれらのライン(白色や黄色の線)を設置および抹消する専門職です。
 当社は、広島で、業として初めて道路の区画線を引く事業を始めたパイオニア的な存在であり、道路標識や道路標示など、交通安全施設の分野において、中国地方でもトップクラスの歴史と実績を有しています。

―仕事上の苦労や難しさなどを教えてください。

 最初からラインを引く機械に触らせてもらえるわけではなく、できることは限られていますが、覚えることは多いです。それが最初にぶつかる難しさだと思います。
 実際にラインを引くには溶融ペイントハンドマーカー工事と加熱ペイントマシンマーカー工事の資格を取得する必要があります。現場で施工機を操作してラインを引くことは、資格があってはじめて任せてもらえる仕事なのです。
 私は、まず溶融式路面標示の国家資格(路面標示施工技能士)を取得しました。この資格を取得するためには3年以上の実務経験が必要で学科試験と実技試験に合格することで資格取得することができます。私の場合は、先輩のアドバイスを受けながら仕事の合間に実技の練習を重ねた事で、試験に一発で合格することができ、資格取得することができました。
 資格取得できても、それだけで実際に仕事ができるわけではありません。覚えなければならないことは多く、常に勉強です。上司や先輩のやり方を見て覚え、自分でやらせてもらいながら経験を積み重ねていく必要があります。

―具体的にはどんなお仕事ですか。

 塗料は2種類あり、寒冷地で雪の多い地域などは、ペイント式塗料をペイントマーカー車という特殊車両で施工し、別の資格を必要とします。いま当社でこの車に乗れるのは父一人です。
 通常使用する溶融式塗料は、粉状の材料を200℃近くまで加熱して溶かし、現場で路面を計測して作図したところに専用の機械で塗布します。路面のライン引きは、一発勝負の世界です。一度施工すると引き直すことが難しいため緊張し、神経を使います。路面の状態や気候に左右されることも多く、曲線もあれば、傾斜がついていることもあります。自分の手で施工機をずらして、まっすぐなラインを引くのは苦労します。
 高速道路や夜間の国道等での仕事は、交通量が多い中での作業になるため危険もあり、また、溶融式塗料は高温でもあるため周りの状況なども気にしつつ、集中力を保ちながら、十分注意して作業しなければなりません。

―どのような時にやりがいを感じますか。

 ラインは長いものだと、1日に溶融式で数千m引くこともあります。そうやってきれいにラインが引けた時の達成感は、苦労した分、大きいです。自分の引いたラインが後々まで残るのも、うれしいですね。その道路を通ると、友人や家族につい自慢してしまいます。

― 仕事に興味を持った方へのメッセージなどがあればお願いします。

 当社は、同じ世代の若い仲間が多く、和気あいあいとした雰囲気で、上司や先輩方はフレンドリーで優しく、ノウハウをきちんと教えてくれます。全くの未経験の若い人も入りやすく、働きやすい環境だと思います。そうした中で、大事なのは、先輩の良いところを見て、学び、自分で経験を重ね、技術をどれだけ自分のものにすることができるかだと思います。私のお手本は、上司でもある父です。いつか父を追い越せる技術を身に付けることが、私の目標です。

                                                   

 

会社概要

宮川興業株式会社
所 在 地:広島市安佐南区大町西3丁目11-42
事業内容:総合建設業
創  業:1943年4月

(2020年11月現在)

情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課